抄録
2005年10月より名古屋大学法科大学院では講義を繰り返し視聴できる環境を提供している。法科大学院評価基準では、社会人学生および法学未修者など学生が多様なバックグラウンドを持っていることに配慮した学修指導を行うことを求めている。これに対応するため、講義を受けながらノート(Microsoft Office Word ファイル)にインデックスを付すことにより、講義後、インデックス付加時点からの講義映像を視聴できる収録システムを提供した。しかし、学生への調査によると「講義を最初から最後まで受けないと、どの部分を再度視聴したいのかわからず、受講しながら講義ノートにインデックスを付けるのは困難」との理由からインデックス機能を利用していないことが判明した。
この問題を解消するため、収録した講義の音声をテキスト化し、文字情報からピンポイントで検索・再生できる講義収録システムに更新した。2022年4月から利用している。収録した講義の動画は「AI」解析され動画と文字情報が提供される。学生は文字情報からよくわからなかった講義箇所、もう一度復習したいと考えた箇所の映像をピンポイントで再生できる。本稿ではAI音声認識技術を活用した収録システムの導入の経緯、システム構成と機能、運用状況および今後の課題について報告する。