応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:応用糖質科学シンポジウム】 クラスター デキストリン®-SEの開発とその利用
渡邊 浩史 玉井 敏博寺田 喜信栗木 隆
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2020 年 10 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

糖質は身体の主要なエネルギー源であるが,消化に伴う急激な血糖値上昇や過剰なインスリン分泌は健康を害する重大なリスクの増大につながる.近年,我々は,消化速度が穏やかで,かつ難消化成分が少ないという特徴を持つ新しいデキストリン,遅消化性高度分岐環状デキストリン『クラスター デキストリン®-SE』を開発した.クラスター デキストリン-SEはワキシーコーンスターチを原料にブランチングエンザイムとアミロマルターゼの2種類の酵素を同時に作用させることで効率よく合成され,短鎖長から長鎖長に全体的に分散した特徴的な単位鎖長分布を持つデキストリンである.クラスター デキストリン-SE摂取後の血糖値は,グルコースと比較して,初期の血糖値上昇で有意に低値を示したが,120分間の血糖曲線下面積に有意差は見られなかった.一方で血中インスリン値は,緩やかに推移し,120分間の血中インスリン曲線下面積でも有意に低値を示した.このインスリン分泌の少ない新しい糖質素材は,インスリン分泌に起因する脂肪代謝抑制を起こしにくい,脂肪と糖の両方をエネルギーとして利用可能なスポーツ栄養素材として期待される.

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© 2020 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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