応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:―受賞論文―】 調理科学的視点による糖質含有食品の特性と利用適性に関する研究
平尾 和子
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2021 年 11 巻 1 号 p. 2-13

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抄録

糖質および糖質を含む食品(糖質含有食品)は,主食や副菜,デザートに広く用いられ,調理には欠かせない素材である.これまで糖質含有食品を対象とし,調理科学的視点からその食品の理化学的性質および利用特性,調理操作により生じる食品の変化の解明などを目的として,第一に,調理の実習で生じた疑問の解明,第二に,新しい糖質素材の理化学的性質や利用適性の解明・提案,第三に,澱粉に対する副材料(糖類,タンパク質,脂質など)添加による相互作用の解明など,大きく三つのテーマについて研究を行ってきた.研究対象とした糖質含有食品は,米,雑穀,タピオカパールなどの粒状食品,粉状の小麦粉や米粉および馬鈴薯,トウモロコシ,キャッサバ,サゴなどの澱粉(天然・加工)およびこれらを用いた加工品,各種糖類など多種多様である.本稿では,これまでの研究のうち,パール状澱粉における新たな調理操作法(ポット法)の確立,大麦混合飯の炊飯条件の基準の提案および各種大麦の利用法,さらにはシェッフェの単純格子計画法を用いた澱粉ゲルに及ぼす分離大豆タンパク質と大豆油の影響の検討および結果を示す三角図の簡易描画法の提案など,研究の一部を紹介する.

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© 2021 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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