応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:応用糖質科学シンポジウム】 ケストース生成酵素の改良
藤井 匡 栃尾 巧
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2021 年 11 巻 2 号 p. 66-71

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抄録

フラクトオリゴ糖(FOS)は,スクロースにβ-2,1-結合フルクトースユニットが転移したポリマーで,プレバイオティクスとして広く使用されている.特に三糖のFOSであるケストースは,酪酸産生菌などの腸内有用菌を選択的に増殖させるなど,プレバイオティクス機能が特に高いことが報告されている.我々は,ケストースを効率的に生産するために,四糖のFOSであるニストースの副生が抑制されケストースを特異的に生成する酵素の取得を試みた.大腸菌表層提示法を用いてスクリーニングした結果,Beijerinckia indica 由来酵素の変異体BiBftA H395R/F473Yがケストースを特異的に蓄積した.特にH395Rが重要な変異であり,ケストース以上の長鎖が生成することを抑制し,かつスクロースが糖転移せずに分解することをも抑制していると考えられた.反応のタイムコースを確認した結果,BiBftA H395R/H473Yによってスクロースの44%程度がケストースに変換され,このときニストースの副生は1%程度に抑制されていた.この改良酵素は,ケストース結晶の飛躍的生産コスト削減と生産効率向上に寄与すると考えられた.

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© 2021 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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