2021 年 11 巻 2 号 p. 94-99
コンドロイチン硫酸(CS)は,長い糖鎖の特定のオリゴ糖配列がタンパク質と相互作用することによって生化学的機能発現を誘導する.そのため,CSオリゴ糖は薬理学的応用が期待され多くの研究がされている.しかし,CSオリゴ糖の大量調製が難しいこととその構造の多様性により単離精製は困難であり,工業的な生産がなされていなかった.本研究では,エイ軟骨抽出物から生産されたCSオリゴ糖を起源とし,サイズ排除クロマトグラフィと陰イオン交換クロマトグラフィを組み合わせることで二糖から六糖までの単一分子量に単離精製されたCSオリゴ糖の大量調製に成功した.また,D-グルクロン酸を両末端に持つ奇数糖,及びN-アセチル-D-ガラクトサミンを両末端に持つ奇数糖の調製にも成功した.最終精製物の構造は,質量分析により決定された.今回単離精製されたCSオリゴ糖により,CS関連研究の飛躍が期待される.