応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
Online ISSN : 2424-0990
Print ISSN : 2185-6427
ISSN-L : 2185-6427
【総説:応用糖質科学シンポジウム】デキストラン資化遺伝子群から発見したGH65 α-1,2-グルコシダーゼと関連酵素の構造機能解析
中村 駿太郎倉田 陸矢仁平 高則中井 博之殿塚 隆史舟根 和美朴 龍洙宮崎 剛亜
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 13 巻 2 号 p. 124-134

詳細
抄録

我々は土壌細菌Flavobacterium johnsoniaeから糖質加水分解酵素ファミリー31 (GH31) として初めてエンドデキストラナーゼ (FjDex31A) を見出し,その構造機能相関を明らかにした.FjDex31A遺伝子周辺には3種類の糖質加水分解酵素 (FjGH65A,FjGH66,FjGH97A),糖結合タンパク質,糖トランスポーターの遺伝子が存在することから,これらの遺伝子群はデキストランの資化に関わる多糖資化遺伝子群 (PUL) だと考えられた.FjGH65Aはコージビオースを特異的に分解するアノマー反転型のα-1,2-グルコシダーゼであり,バクテリア由来GH65酵素で初めての加水分解酵素であった.また,FjGH97Aはα-(1→6) 結合やα-(1→3) 結合に高い活性を示し,FjGH66はエンドデキストラナーゼであった.さらに,これらすべての酵素の構造機能相関を明らかにすることにも成功した.以上のことから,これらの酵素はLeuconostoc属細菌が産生するα-(1→2) 結合やα-(1→3) 結合の分岐が存在するデキストランを協同して分解する可能性がある.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本応用糖質科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top