応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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総説―応用糖質科学シンポジウム―
難消化吸収性糖質の食品表示における課題
田辺 賢一 谷 佑馬横山 明幸岸本 由香中村 禎子
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2025 年 15 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

わが国における糖質科学分野の技術力は高く,新規糖質の開発が盛んである.これらの新規糖質は生体内で各々特徴的な代謝経路を有しており,その特性を活用して実用化されている.新規糖質の中には,経口摂取後,消化管腔内において生体由来の糖質消化酵素によって消化されにくい,かつ/または,吸収されにくい特徴を有する難消化吸収性糖質がある.その代謝的特徴から難消化吸収性糖質は,低エネルギーの甘味料(難吸収性単糖や糖アルコールなど)あるいは,澱粉の代替(食物繊維)として加工食品に利用されている.難消化吸収性糖質を食品素材として商品・実用化する際の食品表示上の課題として,熱量算出時のエネルギー換算係数および分類がある.本稿では,難消化吸収性糖質のエネルギー換算係数の評価方法および運用に関する(一社)日本食物繊維学会の取り組みに関して簡単に紹介する.また,海外における難消化吸収性糖質の食品表示ならびに製品開発における難消化吸収性糖質の利用について紹介し,我が国の難消化吸収性糖質・糖類の食品表示上の分類に関する課題を共有する.

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© 2025 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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