応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【ノート】 鱗茎澱粉の理化学的特性
川西(朝岡) 正子 菊田 千景萩原 世奈岩城 啓子杉本 温美
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2019 年 9 巻 4 号 p. 266-277

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抄録

チューリップ4種(オランダ産2種,日本産2種),スイセン2種,ヒガンバナ1種の合計7種類の鱗茎より澱粉を調製し,その性質を調べた.鱗茎澱粉の平均粒径はチューリップ32.1~46.0mm,スイセン23.3~26.0mm,ヒガンバナ47.9mm,X線回折図はチューリップB図形,スイセンA図形,ヒガンバナC図形であり,ヨウ素澱粉複合体吸収曲線による青価は0.376~0.428で,7種類の澱粉はうるち種であった.DSCによる糊化ピーク温度はチューリップ54.5~55.2°C,ヒガンバナ58.0°Cと低く,スイセンは72.2~72.5°Cと高かった.RVAによるチューリップの粘度特性は,粘度上昇温度が低く,ピーク粘度・ブレークダウンが大きく,セットバックが小さかった.膨潤力・溶解度共に,チューリップはヒガンバナ・スイセンよりも大きく,特に60°Cでの膨潤力はジャガイモ澱粉のおよそ5倍,溶解度は5~8倍もあった.ヒガンバナ澱粉粒の酵素による消化性はトウモロコシ澱粉粒とほぼ同様であったが,チューリップ及びスイセンの澱粉粒は比較的低かった.鱗茎澱粉粒の酵素分解残渣をFE-SEMで観察した結果,チューリップの澱粉では粒の端の一部が剥がれて層状構造がみられ,また,紐状のものや螺旋状に巻いたものも観察された.

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© 2019 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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