大阪物療大学紀要
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高リスク神経芽腫における 高エネルギーX線の放射線治療と陽子線治療の比較
中道 由貴竹内 優稀福村 隼矢森本 咲穂西 環
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2023 年 11 巻 p. 7-12

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抄録

要旨:小児がんは従来、X線を用いた放射線治療が行われていたが、現在、陽子線治療が公的な保険適用となっている。しかしながら、神経芽腫において陽子線治療が臨床適用されてからの年数が少ないため、推奨エビデンスレベルが低くなっている。本研究の目的は、神経芽腫における高エネルギーX線の放射線治療と陽子線治療を比較検討することである。方法: 神経芽腫に対する放射線治療についての論文14報を抽出した。それらの結果を分析し、神経芽腫における高エネルギーX線の放射線治療と陽子線治療の結果を比較し、線量分布・腫瘍制御率・有害事象について考察した。結果: フォローアップ期間はX線治療が約21.5ヵ月、陽子線治療が約35.4ヵ月であった。X線治療よりも陽子線治療の方が標的に線量を集中でき、腫瘍制御率の平均値は、それぞれ約79%、約96%であった。しかしながら、陽子線治療の方が有害事象の発生は多かった。考察: 総合的に陽子線治療の方がX線治療に比べ優れていると考えられる。しかしながら、陽子線治療の晩期有害事象については追加のフォローアップが必要である。結論: 神経芽腫の放射線治療では、線量分布と腫瘍制御率においてX線治療よりも、陽子線治療の方が優れていた。

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