大阪物療大学紀要
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ファントムを用いた低線量乳腺CT撮影に関する検討
西浦 素子山口 功小縣 裕二
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2014 年 2 巻 p. 31-36

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抄録

乳腺疾患における病変の存在診断、質的診断および乳癌の広がり診断について画像診断の第一選択はMRIであるが、CTは高い空間分解能、体内金属や閉所恐怖症があっても検査可能、広い撮影範囲を短い検査時間で施行可能であり、仰臥位、斜位で撮影することが多く、手術体位に近い画像を得ることが容易である。これは術者にとって大きな利点であり、術前の支援画像として最も有用であると考えられる。そこで、乳腺CTにおける一番の問題点である被ばく線量の低減について注目し、ファントムを用いてX線線量を150mAs、100mAs、75mAs、50mAs、40mAsと変化させて撮影後、最大値投影法(Maximum intensity Projection:MIP)および多断面再構成法(multi-planar reconstruction:MPR)の作成を行い得られた画像の視覚的評価およびコントラストノイズ比(contrast-to-noise ratio: CNR)値を検討した。低線量になるにつれて画像ノイズによる影響は大きくなり、模擬線維、腫瘤および石灰化についての観察は困難となったがX線線量150mAsの半分(75mAs)まで下げてもほぼ同等の描出能が得られた。低線量撮影において増加する画像ノイズを抑制できるその他の撮影条件および再構成条件について更なる検討を行うことで、乳腺CT撮影においても被ばく低減を考慮した良好な画質取得が可能となると考えられる。

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