大阪物療大学紀要
Online ISSN : 2433-4758
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極低線量CTにおける画像再構成関数が画質に及ぼす影響
本学に導入された最新型CT装置におけるAIDRの検証
伊藤 望海的場 徹岩元 新一郎
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2016 年 4 巻 p. 35-40

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抄録

肺がん検診で低線量CT を用いる際、雑音の相対的増加により画質の劣化が問題として挙げられる。近年では、被ばく線量低減の目的から逐次近似法を基にした新しい画像再構成法が普及してきている。最近本学に導入された東芝製の最新型CT 装置にも、AIDR 3D とAIDR 3D Enhanced という2 タイプの逐次近似法が組み込まれている。AIDR 3D では、被ばく低減ならびに飛躍的な雑音の低減と画質向上ができると謳っている。AIDR 3DEnhanced では、粒状性と空間分解能をコントロールしながらノイズを低減できることを利点としている。2 タイプとも線量の最大低減率はFBP と比較して75%としている。本研究では、極端にノイズが多い極低線量である10 mAs にて、肺野用高分解能再構成関数であるFC86 による再構成画像の画質評価を行った。SD およびNPS による雑音特性の評価と、LSF の半値幅およびMTF による空間分解能の評価を行った。実験結果より、AIDR 3D およびAIDR 3D Enhanced による画像再構成は、FBP と比較してノイズ低減に有効であることが分かった。また、空間分解能に関してはAIDR 3D ではFBP とほぼ変わらなかった。しかし、AIDR 3D Enhanced ではFBP と比較して、MTF が大きく異なる挙動を示し、急激なアンダーシュートの出現により臨床診断上の問題点が明らかにされた。

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