大阪物療大学紀要
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トモシンセシスを用いたマンモグラフィにおける被ばく線量の推定について
田中 梨夏子阿部 愛海羽紫 奈津子今井 信也
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2020 年 8 巻 p. 33-38

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抄録
近年、マンモグラフィは2D 撮影にトモシンセシス撮影を併用した診断が普及している。トモシンセシス撮影は1 撮影で15 曝射しているため、管電流時間積は15 曝射の積算線量となっている。トモシンセシス撮影では曝射回数が多いため、患者の上半身への被ばく量の増加が起こる可能性がある。本研究では患者の水晶体への被ばくに対して、CC撮影とMLO 撮影の患者立ち位置における方向の空間線量を測定した。冠状面の空間線量測定値をカラーマップに示し、158 cm の被検者を想定した場合の水晶体の被ばく線量の推定を行った。その結果、水晶体の高さの線量はCC 撮影で、2D を基準としてST モードは約1.2 倍、HR モードで約2.5 倍となり、MLO 撮影で2D を基準としてST モードは約1.5倍、HR モードで約3 倍となった。これは2D 撮影ではRh フィルタ、トモシンセシス撮影ではAl フィルタを使用しており、Al フィルタは高エネルギー成分の除去ができないため、線質が硬くなり散乱線も多く発生したことが要因と考えられる。また、2D 撮影とトモシンセシス撮影を併用しても水晶体被ばくは、1 回のマンモグラフィ検診においCC 撮影で108.88 μGy、MLO 撮影で62.20 μGy で合計0.17 mGy となり29.4 回までは、公衆線量限度と予想される5 mSv/年に達しないことがわかった。
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