健康科学大学紀要
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看護学生への災害対応のための新たなシミュレーション教育の試み
黒田 梨絵
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2019 年 15 巻 p. 71-77

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抄録
【目的】
 災害発生時や緊急時の対応力・実践能力を向上させるには,シミュレーション教育が有効であると報告され,近年,シミュレーション教育の実施が求められている。そこで,看護学生への災害対応のための新たなシミュレーション教育を実施した効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 2017 年9 月と3 月,看護学生10 名がメディカルラリーに参加した。ラリー参加前後にて,質問紙調査を実施した。調査項目は,基本属性,知識と技術の自己評価,学業と職業の接続意識尺度,学んだこと等を尋ねた。分析方法は,ラリー前後の得点比較のため対応のあるt 検定,およびKrippendorffの内容分析とした。
【結果】
 ラリー前と比較し,ラリー後において,フィジカルアセスメント力(t=-5.158,p=.001),看護技術力(t=-3.528,p=.010)等の自己評価が有意に向上した。また,学んだことには【人命救助に必要な実践力】【現場にあった状況判断力】等が挙がった。
【結論】
 看護学生が,現場さながらの救急・災害現場を再現したメディカルラリーというシミュレーション教育に参加した結果,フィジカルアセスメント力や看護技術等の自己評価が向上し,災害現場や緊急時に必要な実践力等の必要性に気づくことが明らかになった。シミュレーション教育の実施は,現場対応の可能な人材育成のための実践的教育となりえることが示唆された。
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