健康科学大学紀要
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最新号
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表紙・目次
原著論文
  • 試行間休憩時間の影響と臨床的判断
    黒崎 真樹
    2019 年 15 巻 p. 3-11
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
    【目的】
     握力3回測定における試行間休憩時間を変化させた際の3回測定の平均値および最大値,1回測定値(3回測定の1回目)で信頼性を比較し,臨床的判断方法を明らかにする。
    【方法】
     健常成人男性40名,女性40名対象に握力測定を試行間休憩時間(15秒,30秒,60秒)の3セッションを実施した。3回測定の平均値および最大値,1回測定値(3回測定の1回目)に分け,信頼性,系統誤差の有無,最小可検変化量(Minimal detectable change : MDC)を計算した。
    【結果】
     3回測定の最大値は信頼性が最も高く系統誤差も認めなかった。3回測定の平均値は加算誤差を認め試行間の休憩時間が長くなると値が上昇する傾向を示した。MDCは男性で5.26 ~ 8.41kg(12.5~ 21.4%),女性で3.56 ~ 5.22kg(15.2 ~ 20.1%)であった。
    【考察】
     本研究の条件下では3回測定の最大値が最も信頼性が高くその利用を推奨する。その際目安として測定値の20%以上を真の変化(改善あるいは悪化)とすることを提案する。
研究ノート
  • フォーカスグループインタビューデータのテキストマイニングから
    渡邊 隆文, 安保 尚, 井坂 優美, 楢木 博之, 初鹿野 美穂, 和光 勇介, 渡辺 健市, 渡辺 裕一
    2019 年 15 巻 p. 13-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     近年,福祉に関わる様々な問題が取り上げられ,支援を担う社会福祉専門職の質と量の確保が求められるようになった。社会福祉士の養成においては,これまで以上に現場実習の在り方について大きな期待が寄せられており,実習先の実習指導者(以下,「実習指導者」とする。)と社会福祉士養成校教員(以下,「養成校教員」とする。)のスーパービジョンが果たす役割は大きい。そこで,本研究では平成29年度実習指導者フォローアップ研修のテーマとして取り上げ,相談援助実習の実習スーパービジョンにおいて,養成校と実習指導者との連携の現状と課題を明らかにすることを目的とした。調査は研修参加者を対象としフォーカスグループインタビューを実施した。その後,抽出されたデータを基にテキストマイニング分析を行った。カテゴリ間の関連を見るために主成分分析を行い,より詳細な分析を行うためクラスター分析を行った結果,6つのグループが抽出された。実習スーパービジョンの現状と課題として,連携の基盤にある実習指導者と養成校教員との密な会話・対話の関係構築の必要性,実習指導者の養成の課題と養成校教員の巡回指導の果たす役割分担の問題,様々な多面な側面をもつ実習生に対する実習評価・指導の難しさの3つが示された。
事例研究
  • 吉岡 睦世, 久島 萌, 窪川 理英, 中溝 道子, 溝口 孝美, 平尾 眞智子
    2019 年 15 巻 p. 23-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
    【目的】
     1年次生が日常生活の援助技術の総まとめとして行なった既習の学習内容を統合する状況設定事例演習において,体験した学びを明らかにすることを目的とした。
    【方法】
     状況設定事例演習に参加したA大学看護学部学生1年次53名を対象に,学生各自が行なった看護援助を振り返り,今回の演習を通しての学びについて無記名の自由記述を依頼し,質的帰納的に分析した。
    【結果】
     156のデータを抽出し,21サブカテゴリーにまとめ,最終的に6カテゴリーを抽出した。カテゴリーは【技術を工夫すること】【対象理解】【コミュニケーション力】【患者への配慮】【観察力】【看護師のチームワーク】であった。
    【考察】
     学生は対象と向き合うことで 【技術を工夫すること】や【対象理解】を踏まえた看護技術が大切だと学べているが,【コミュニケーション力】【患者への配慮】【観察力】【看護師のチームワーク】を学べた学生は少ない。よって,多くの学生がこれらの内容を用い対象への理解が深まるような教授内容や方法を工夫していく必要がある。
総説
  • 髙木 大輔, 影山 昌利
    2019 年 15 巻 p. 33-36
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     サルコぺニア肥満(Sarcopenic obesity)は,骨格筋量・筋力が減少し,体脂肪が増加した状態であるが,定義ならびに判断基準が明確になっていないのが現状である。サルコペニア肥満に対してレジスタンストレーニング,有酸素運動,レジスタンストレーニング+有酸素運動(コンカレントトレーニング)が骨格筋量や体脂肪量などの身体組成,握力,筋力,身体機能などを改善する報告はあるが依然十分とはいえない。今後は定義や判断基準を明確にするとともに,サルコペニア肥満に対する運動の影響を示す知見を蓄積し,サルコペニア肥満に対する運動処方を確立していく必要がある。
  • 窪川 理英, 吉岡 睦世, 久島 萌
    2019 年 15 巻 p. 37-42
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     本論は『看護基本技術』の学習項目である「安楽確保の技術」の具体的教授内容を明らかにすることをねらいとした。基礎看護学のテキスト17冊における「リラクセーション」「指圧」「マッサージ」の掲載状況を確認し,過去5年間の文献からリラクセーション方法を検索した。その結果3割のテキストには「リラクセーション」「指圧」「マッサージ」の記載がみられなかった。また,文献と比較しテキストでは,リラクセーションについて多くの方法が紹介されていたが,研究で使用さ れる方法とは乖離がみられた。リラクセーション方法の一つであるタクティール® ケアは,手技的に簡便でありコミュニケーションの導入にもなり初学者に享受する方法として適していた。
  • 竹村 眞理
    2019 年 15 巻 p. 43-45
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     臨地実習におけるカンファレンスは,学生が自己の行動を振り返り,看護の対象者である人の理解や必要な看護について考えを深め,学生同士で共有しあう機会となる教育的な場である。先行研究では,カンファレンスの指導および実習前教育について報告したものはない。カンファレンスは学習効果があると報告されている一方で,学生はカンファレンス開催に対してストレスを感じている。大学のカリキュラムは,知識の積み上げとともに論理的思考の育成に効果があるように構成されている。
     これらを活かしたカンファレンスに対する事前教育を行う必要について考察したことを報告する。
資料
  • 高田 毅
    2019 年 15 巻 p. 47-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     実習生の理解のための鍵変数として急性ストレス反応と青年期発達課題の2変数が導入された。実習現場での実習指導者・教員を含めた実習生の心理的状況を本学の実習体制の状況も踏まえて抽出した。その上で,アセスメントにおける2変数の意義とそれを踏まえた対応のポイントが示された。急性ストレス反応は誰にも起こりうる反応である。さらに,ストレス刺激を見失うことが起こり,本人にストレス反応の自覚が生じにくい。したがって,実習生に限らず,実習指導者・教員もストレス状況を振り返る時間・空間が重要である。また,青年期発達課題を踏まえたときに,実習指導者や教員との関係で自立と依存の葛藤を抱きやすい。そのため,実習生は助けの求めを出すことが難しい。実習指導者・教員が急性ストレス反応をアセスメントの仮説とし,能動的に声かけをしながら仮説を検証していく姿勢が重要である。実習指導者・教員の助けを得ながら,セルフケア能力を身につけていくことが実習生の成長に貢献すると考える。
  • 瀧口 綾, 鈴木 真吾, 高田 毅
    2019 年 15 巻 p. 55-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     健康科学大学リハビリテーションクリニックにおける2017年度の小児心理臨床の活動について報告した。ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた子どもたちが最も多かった。ASDは対人関係に課題を抱えやすく,当人はもちろん親への心理的支援が欠かせないことから心理相談の役割の重要性が浮き彫りとなった。一方,山梨県東部・富士五湖地域においては専門療育及び総合的な心理的支援を行う機関が限られており,広範囲な地域から来院している実態が明らかになった。
  • 升 佑二郎
    2019 年 15 巻 p. 61-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     本研究では,スマッシュに共通する動作様式から逸脱した個別的な動作特性について検討した。被験者は関東大学1部リーグのチームに所属する男子選手8名とした。各被験者にスマッシュを行わせ,その際の動作様式をMAC3D Systemを用いて撮影した。得られた座標データをもとに上肢関節角度を算出した。さらに,ある選手の動きが平均値とどの程度異なるかを明らかにするために重み付きZスコアを算出した。その結果,ラケット腕側の肩関節外転,肩関節水平屈曲角度においてZスコアの値が大きい局面がみられた。これらの重み付きZスコアの大きい局面および部分は個人差が大きく,重要度が小さい可能性がある一方,そのばらつきがパフォーマンスの優劣に影響する重要なものである可能性があると考えられた。
  • 黒田 梨絵
    2019 年 15 巻 p. 71-77
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
    【目的】
     災害発生時や緊急時の対応力・実践能力を向上させるには,シミュレーション教育が有効であると報告され,近年,シミュレーション教育の実施が求められている。そこで,看護学生への災害対応のための新たなシミュレーション教育を実施した効果を明らかにすることを目的とした。
    【方法】
     2017 年9 月と3 月,看護学生10 名がメディカルラリーに参加した。ラリー参加前後にて,質問紙調査を実施した。調査項目は,基本属性,知識と技術の自己評価,学業と職業の接続意識尺度,学んだこと等を尋ねた。分析方法は,ラリー前後の得点比較のため対応のあるt 検定,およびKrippendorffの内容分析とした。
    【結果】
     ラリー前と比較し,ラリー後において,フィジカルアセスメント力(t=-5.158,p=.001),看護技術力(t=-3.528,p=.010)等の自己評価が有意に向上した。また,学んだことには【人命救助に必要な実践力】【現場にあった状況判断力】等が挙がった。
    【結論】
     看護学生が,現場さながらの救急・災害現場を再現したメディカルラリーというシミュレーション教育に参加した結果,フィジカルアセスメント力や看護技術等の自己評価が向上し,災害現場や緊急時に必要な実践力等の必要性に気づくことが明らかになった。シミュレーション教育の実施は,現場対応の可能な人材育成のための実践的教育となりえることが示唆された。
  • 解剖見学実習に関する文献から見る今日の動向から
    三木 喜美子, 佐野 宏一朗, 乙黒 仁美, 高村 かおり, 竹村 眞理
    2019 年 15 巻 p. 79-83
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     本学部では,開設時の平成28年度から現在(平成30年度)に至るまでご遺体を用いた肉眼的解剖見学実習を行ってきた。主に,本学健康科学部の解剖学教員および山梨大学医学部解剖学教室の協力を得,肉眼的解剖学実習が行われてきた。看護学部の教員は,必要物品の準備と共に実施に向けてのオリエンテーションおよび倫理的側面の講義等を担当してきた。
     看護基礎教育における解剖学教育について2000年に看護学の視点で行う必要があると提言され,具体的には2017年頃からの文献で検討され始めている。筆者らは,本学部の今後の解剖学実習のありかたを検討するために文献検索を行った。発表された看護系大学で行われた解剖見学実習に関する文献を検討した結果,解剖見学実習の実施方法,事後の学生の学びについての集計が主になっていることが分かった。従来行われている解剖見学実習は,学生が人体の形態・機能を学ぶことに多大な効果を与え,また生命や,医療職者としての倫理教育の機会になっていることが明らかになった。
     看護学の視点での解剖学の教育について志向する一方で,筆者らは現在実施している解剖見学実習における学生の学びや学習意欲を充実させていく方向でも検討していく必要がある。
  • 健康促進と看護学部の地域貢献活動に対する住民ニーズに基づく検討
    渡邉 美樹, 篠原 亮次
    2019 年 15 巻 p. 85-92
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
    【目的】
     地域住民の健康および健康なまちづくりへのニーズや看護学部による地域貢献活動へのニーズに基づく看護学部の役割を検討すること
    【方法】
     対象は,A大学看護学部が設置されているB市に在住あるいは就業している成人171人である。調査方法は,質問紙調査を実施した。分析は,エンパワメント技術モデルに基づく目標戦略設計を用い,住民のニーズを反映させてB市の健康なまちづくりのために,看護学部がどう戦略的に役割を担うかの要因を抽出した。
    【結果】
     看護学部の役割として,《地域住民との交流》《住民の健康づくり支援》《地域で活躍できる看護職の育成と就職支援》《災害看護の拠点》《学校連携による継続的な健康教育》《関係機関との連携》の6領域9つの下位項目が分類された。
    【結論】
     看護学部による住民の健康維持・増進支援、地域で住民の健康づくりに貢献できる専門職の育成,関係機関との連携による住民の安全と安心を支える活動が看護学部の役割として示された。
  • 臨床経験年数の長短による達成度・満足度の違い,及び2017 年度調査との比較
    坂本 宏史, 関口 賢人, 志茂 聡, 藤田 愛, 成 昌燮, 境野 千春, 川手 豊子
    2019 年 15 巻 p. 93-104
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     平成30年4月に開催された,健康科学大学(以下,本学)主催の医療従事者を対象とする「医療専門家のための人体解剖学講習会」(以下,解剖実習セミナーまたはセミナー)の参加者に対して,参加者の属性(職種・臨床経験年数・担当患者数・セミナー参加経験数)と,解剖実習セミナーへの必要度・達成度・指導方法およびプログラムへの満足度,改善すべき点などについて,セミナー終了時に質問紙調査を行った。
     昨年度に行った質問紙調査の解析で,臨床経験の少ない集団では指導法やプログラムへの満足度が有意に低いことがわかったため,今回は指導方法やプログラムの改訂(基礎コースを設けて目的別の講習を増やした)を行い,臨床経験年数の少ない参加者への教育的配慮を行った。
     結果,臨床経験の少ない群における指導方法やプログラムに対する満足度が,昨年度のそれよりも高くなっていた。
     また,上述した改訂である基礎コースを選択した参加者では,従来のコースを選択した参加者に比べて,セミナーを通しての達成度が高い結果であった。
  • 坂本 宏史, 成田 崇矢, 黒崎 真樹, 中村 圭一, 瀧口 綾, 古川 奨
    2019 年 15 巻 p. 105-109
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー
     本年度(平成30年度),健康科学大学健康科学部地域連携推進委員会が,「健康科学大学と富士河口湖町との包括連携協定(平成22年3月24日締結,以下包括連携協定)」に関連して行った活動を中心にまとめた。
     「包括連携協定」の目的の一つである「知的財産の共有」に関連して,本学教員が地域住民に対して「健康科学大学 公開講座(富士河口湖町・健康科学大学地域連携講座)」を開く一方,本学河口湖キャンパスに町役場の職員を特別講師として招き,本学学生を対象に地域行政の基本や富士河口湖町の取組みや課題について解説する「地域連携の理論と実際」を開催した。
     本学ボランティアセンターに登録している学生は,健康科学部・看護学部を合わせて,270名(平成30年10月1日現在)あり,富士河口湖町内外の地元団体の要請に応じて延べ364名がボランティア活動に参加した。また,ボランティア活動の一環として毎年恒例となっている富士河口湖町内の清掃活動「ウォーク・クリーニング隊」が5月27日(日)に行われ,40名の学生ボランティアが参加した。
掲載論文の取り下げについて
奥付・裏表紙(英文目次)
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