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論文
大磯丘陵での一年を通じた夜明け時間帯の鳥類定点聞き取り調査
大坂 英樹
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 22 巻 p. 25-35

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抄録

神奈川県大磯町丘陵で一年間(2014年07月~2015年06月)にわたり週毎に45週、日の出時刻の前後30分を含む夜明け時間帯に出現する鳥を定点で聞き取りまたは録音により記録し鳥相がどう変化するかを調べた。分析は鳴き声データのみ用いた。観察した鳥類は外来種を含み55種、一日平均17種が観察され、4月後半が最多の27種、9月が最少の5種が観察された。

鳴き出しの時間帯別では

(1)日の出時刻の30分前までに夜行性の鳥を含む平均25.4%の種が鳴き出し、

(2)日の出を挟む1時間に47.6%の種が鳴き出し、

(3)日の出30分以降に25.4%の鳥が鳴き出した。

昼行性の鳥は春に種類が多く、鳴き出す鳥の種類は3分に1種の割合で増え、秋は種も少なく、鳴き出す鳥の種類は8分に1種の割合で増えた。

昼行性の鳥の鳴き出し時間のバラツキは種毎に異なり、年間出現率が10%以上で鳴き出しバラツキの半値幅が10分以内の種は小さい順にソウシチョウ、ウグイス、シメ、ヒヨドリ、モズ、ガビチョウ、キビタキであった。これらは日の出に対して決まった時間に鳴き出すことを意味する。逆に出現率が10%以上でバラツキの半値幅が1時間超えるものにツバメ、サンコウチョウが、30分を超えるものにツグミ、オオルリ、ノスリ、イカル、ホオジロがいた。鳴き出し時間とバラツキから夜明け時間帯の鳥の行動として夜行性、昼行性のお泊り型、昼行性の来訪型と分類できる可能性を示した。

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© 2015 日本野鳥の会 神奈川支部
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