本稿では, ALS (筋萎縮性側索硬化症) 患者を対象とした, BCI (ブレイン・コンピュータ・インターフェース) の開発について述べる. BCIは運動機能が著しく低下したALS患者のコミュニケーション手段として期待が大きいにもかかわらず, 技術主導の研究が多く, ニーズとのマッチングが十分ではないのが現状である. 本研究では, ALS患者を対象としたニーズ調査を行い, 日本語音声を聴覚刺激として与えた際に誘発されるP300を検出するBCIのコンセプトを構築した. 本システムは日本語の五十音から, 5者択一課題により3段階で一文字を選択することができる. 健常者およびALS患者での文字選択実験から, 意思伝達装置としての実用性が示された.