2010 年 20 巻 p. 217-224
本研究では, 菱形筋を中心とした肩関節外転運動における肩甲骨周囲筋群の筋活動量の変化を検討することを目的とした. 対象は肩関節に既往のない健常男子大学生6名とし, 肩関節外転運動時の大・小菱形筋の筋活動をワイヤ電極により, 前鋸筋, 僧帽筋中部線維の筋活動を表面電極により計測した. この結果, 小菱形筋と大菱形筋間において筋活動量に差異が認められるとともに, 小菱形筋と前鋸筋の2筋は負荷の増加に伴って筋活動量が増加する傾向が見られた. よって, 小菱形筋と前鋸筋は負荷依存的に活動することが考えられ, 肩関節外転運動に伴う肩甲胸郭関節の運動は肩甲骨周囲筋群の協調運動により遂行されている可能性が示唆された.