2010 年 20 巻 p. 99-109
健常児と比較してさまざまな機会が制限される, 車いすを使用する障害児の発達を促すことを目的とし, 「二足歩行」 と同等の身体感覚が得られる電動車いすの試作機を開発した. 開発した試作機は, 目線の上昇を実現する半立位機構, 上肢の到達域拡大を実現する下肢による操作系, 動的なバランス保持のための筋活動を活性化するための座面動揺機能を有する. 健常被験者による試作機の試用評価から, システムが基本的な要求機能を満たしていることを確認した. また, 対象児による試用評価を実施した. その結果, 健常児と同様の目線高さや下肢操作による車いすの駆動, 座面動揺による筋活動の活性化, 上腕や手首位置による作業域の拡大が認められ, 要求機能を満たしていることが確認できた. また, 開発した電動車いすにより発達促進の可能性が示唆された.