バイオメカニズム
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2部 生理・リハビリテーション
変形性膝関節症の後足部アライメントが膝関節に与える影響
清水 新悟昆 恵介小林 俊樹猪田 邦雄花村 浩克
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2016 年 23 巻 p. 119-127

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抄録

変形性膝関節症内側型の後足部に着目して, 後足部アライメントと膝関節の関係を調査した. まず床面から垂直に立てた踵骨の傾き (踵骨二等分線角) にて後足部の回内と回外の2群に分類し, Femorotibial Angleとの関係およびKellgren-Lawrence分類の関係を調査した. 次に後足部と内側裂隙率との関係の調査を行い, 最後に後足部と疼痛の関係の調査を行った. その結果, 後足部とFemorotibial Angleの相関は得られなかった. 後足部はFemorotibial Angleの角度の影響を受けないことが分かった. また後足部はKellgren-Lawrence分類や内側裂隙率, 歩行時痛や階段昇降時痛との相関が得られた. この結果から後足部を回内することで膝内側裂隙の負担を減らす防御反応が働いていることが推察された. 後足部回内により疼痛が軽減していると考えるならば外側楔型足底装具は後足部を回内方向へ誘導するため, 既に後足部回内により疼痛軽減が得られている状態からの外側楔型足底装具の効果は期待できないと考えられた. さらに後足部の過度な回内は逆スクリューホームムーブメントを引き起こす可能性があり, 後足部の回内外を考慮して足底装具を製作することが重要と思われた.

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© 2016 バイオメカニズム学会
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