バイオメカニズム
Online ISSN : 1349-497X
Print ISSN : 1348-7116
最新号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
1部 バイオメカニクス
  • 宮崎 彰吾, 藤井 範久
    2016 年 23 巻 p. 11-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    弾性床サーフェスは加える力の大きさにより変形するため, 通常の床に比べて不安定であり, 身体を安定させて着地するためには変形する床面に対応した動きをすることが必要であると考えられる. 本研究では, 弾性床へのドロップ着地動作を行い, 下肢の各関節の役割について検討した. その結果, 接地から身体重心の最下点までの局面 (Absorb期) では, 弾性床の変化に対して足関節よりも膝関節と股関節を大きく動かして緩衝していること, そしてそれ以降の局面 (Stabilize期) では, 弾性床の変化に対して足関節を動かしていること, また足関節が床の振動に対応して動いていたことが明らかになった. このように緩衝性や安定性に対して各関節の機能が異なり, 弾性床上の着地では特有の着地動作方略を用いることが示唆された.

  • 相馬 俊雄, 久保 雅義, 江原 義弘
    2016 年 23 巻 p. 21-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, 不安定板上における杖を使用した立位姿勢制御について明らかにすることである. 対象は健常成人10名とした. 課題動作は, 右上肢に杖を使用して不安定板上で30秒間の立位保持とした. 杖は, T字杖, 四点杖, ロフストランド杖を使用した. 課題動作時の身体重心と足圧中心の計測は, 三次元動作解析装置 (VICON Nexus) と床反力計 (OR6-6-2000) を使用した. また, 同時に前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動を計測し, 同時筋活動を算出した. その結果, 身体動揺および下腿筋の同時筋活動において, 四点杖が有意に小さな値を示した. このことから, 四点杖が不安定板上での立位姿勢の制御能力が最も優れていることがわかった.

  • 伊藤 幸太, 藤原 育海, 細田 耕, 名倉 武雄, 荻原 直道
    2016 年 23 巻 p. 31-41
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    二足歩行中のヒト足部変形を3次元的かつ包括的に計測することは, 靴など製品の人間工学設計や, 整形外科における外反母趾の診断等において重要である. 本研究では, 計測物表面の変位・ひずみ分布やその方向を非接触で計測する手法として近年注目されているデジタル画像相関法を用いて, 二足歩行中の詳細なヒト足部の3次元変形動態の計測を行った. 成人男性5名に自由選択速度で歩行を行わせた際の右足部内外側面を計4台のハイスピードカメラを用いて撮影した. 足部表面には水性黒スプレーを用いてランダムな斑模様を塗付し, 模様の時空間的変化から立脚期中の足部の3次元形状変化と皮膚表面のひずみ変化を算出した. その結果, 立脚期前期および後期に立方骨付近の皮膚で特徴的な内外側方向の伸長がみられた. また, 踵離地後に後足部外側が伸長, 内側が収縮することが明らかとなった. 本手法の計測誤差をアルミ平板の形状計測により評価したところ, 約0.1mm以下であり, 歩行中に起きる足部変形量と比較しても十分小さいことを確認した. 本手法により得られる二足歩行中の足部の定量的な変形情報は, 人間工学や整形外科学分野において重要な知見になりうると考えられる.

  • 相見 貴行, 中村 康雄
    2016 年 23 巻 p. 43-54
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    上肢を多用するスポーツにおいて, 肩甲骨の動きは非常に重要である. しかし肩甲骨は, 体表下を滑るように動くため, 従来の骨特徴点を計測する手法では皮膚の動揺が大きく測定が困難である. そこで本研究の目的は, スポーツ動作を対象として, モーションキャプチャ・システムを用いた肩甲骨運動の無侵襲測定法の開発とした. 反射マーカを背側の体表面に大量に貼付することで体表面形状を測定し, その形状変化から肩甲骨運動を推定した. また応用例として, アーチェリーのシューティング動作における肩甲骨運動を計測した. 結果から, アーチェリーのシューティング動作にともなう肩甲骨運動を測定できることを確認した.

  • 木塚 朝博, 大田 穂, 堤 裕美, 岩見 雅人, 小野 誠司
    2016 年 23 巻 p. 55-65
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    サッカーのボールリフティングにおいて, 安定面上では高いパフォーマンスを示すことができる熟練者でも, 不安定面上になるとそのパフォーマンスを維持できない場合があり, 不安定面を利用すると熟練者間の僅かな技能レベルの差異が顕在化する. 本研究では, サッカーにおける専門的な観察眼を有していない指導者やコーチでも, 不安定面上でのリフティングを観察することによって熟練者間の僅かな技能レベルの差異を判別できることを実証した. 不安定面上でのパフォーマンスが低下する場合, ボールをコントロールする操作足の左右移動幅が明らかに大きくなり, また頭部の左右動揺幅も大きくなるので, 観察による判別が容易になると推察される.

  • 高林 知也, 江玉 睦明, 横山 絵里花, 徳永 由太, 久保 雅義
    2016 年 23 巻 p. 67-73
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    ウィンドラス機構 (WM) とは歩行時の蹴り出し時の推進力を生み出す足部機能のひとつであり, 効率的な歩行を実現するために重要な役割を担っている. しかし, 走行におけるWMはいまだ明らかとなっていない. 本研究は, 走行と歩行の動作様式の違いがWMにおよぼす影響を検証した. 対象は健常成人男性9名とし, 課題動作はトレッドミル上での走行と歩行とした. 解析項目として, WMの指標である内側縦アーチ角度と母趾背屈角度を立脚期で算出した. 走行と歩行で内側縦アーチ角度最小値は変化がみられなかったが (157.4±6.0°, 156.9±4.9°), 走行は歩行と比較して母趾背屈角度ピーク値が有意に低値を示した (32.9±7.3°, 39.9±9.0°; p<0.05). 本研究結果より, 走行時のWMの役割は限局的である可能性が示唆された.

2部 生理・リハビリテーション
  • 柴田 恵理子, 金子 文成, 高橋 良輔
    2016 年 23 巻 p. 77-86
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    体性感覚のうち, 運動に関する感覚を運動感覚という. 運動感覚が生成され, 知覚する過程においては, さまざまな感覚受容器から生じる感覚入力の統合, およびそれらの感覚種を介して生じる運動感覚と運動を実行しようとする際に発せられる運動指令が統合される. これまで我々は, 筋紡錘からの求心性入力の統合と随意的な運動のイメージが運動感覚に及ぼす影響, および, 筋紡錘からの求心性入力と視覚入力の組み合わせが運動感覚に及ぼす影響について, 心理物理的指標を用いた研究を継続してきた. 本研究により, 拮抗関係にある筋からの感覚入力が統合され運動を知覚する場合においても, 感覚入力と運動イメージによる脳活動が統合されること, および自己運動錯覚を誘導できるような異種感覚入力が統合され, 運動感覚が生成されることが明らかとなった.

  • 小野 誠司, 木塚 朝博, 岡田 守彦
    2016 年 23 巻 p. 87-95
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    視覚情報の入力のタイミングは運動制御の調節や適応に重要な役割を果たしている. 先行研究から, 急激な速度変化を伴う視標の動きを繰り返し眼で追うことによって, 滑動性追跡眼球運動 (パーシュート) に適応的変化が起こることが知られている. 本研究では, 視標の速度変化のタイミングに注目し, 変化時間に同期したパーシュート適応が起こるかについて検討した. その結果, ヒトのパーシュートにタイミング特異的な適応 (タイミング適応) が認められた. さらに, 先行研究よりヒトとサルの眼球運動の類似性が報告されているが, タイミング適応の場合, ヒトとサルでは適応パターンが異なることも明らかになった. これらの結果から, パーシュートのタイミング適応はヒト特有の時間予測を含めたタイミング制御機構に起因していることが示唆された.

  • 金子 文成, 稲田 亨, 松田 直樹, 小山 聡, 柴田 恵理子
    2016 年 23 巻 p. 97-106
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    運動の実行を伴わない安静状況下であっても, 感覚入力によって, あたかも自分が運動しているかのように知覚している心理的状態を自己運動錯覚という. 我々は, 視覚刺激を用いて四肢運動の自己運動錯覚を誘導し, それによって生じる神経活動に関する研究を継続してきた. 本総合論文では, まず, 機能的磁気共鳴画像法を用いた脳神経回路活動に関する研究を紹介する. この研究では, 単に動画を観察しているときと比較して, 錯覚中には, 一次運動野以外において実際の運動中に賦活する多くの領域を含む脳神経回路が賦活している結果が得られた. さらに, この運動錯覚を2例の脳卒中片麻痺患者に適用し, 運動機能に対する影響を調べた. その結果, 動作中に記録した筋電図から, 即時的影響として相反的な筋活動が検出された. 現時点では, 臨床的な影響は明らかでないものの, 今後, 系統的な臨床試験を実施する意義があることを示す結果であると考える.

  • 田中 惣治, 山本 澄子
    2016 年 23 巻 p. 107-117
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    麻痺側立脚期の膝関節の動きにより片麻痺者の歩行パターンを分類し, 歩行パターンの違いにより歩行時の下肢筋活動と運動力学的特徴が異なるか, 三次元動作分析装置と表面筋電計を用いて分析した. 回復期片麻痺者35名を対象とし, 歩行時の膝関節と下腿傾斜角度から, 健常者の膝の動きと近い健常膝群 (15名), 荷重応答期と単脚支持期にそれぞれ膝関節が伸展する初期膝伸展群 (5名) と中期膝伸展群 (15名) に分類した. 結果, 健常膝群は荷重応答期で腓腹筋の筋活動を抑えながら前脛骨筋が働くため十分な背屈モーメントを発揮し, 踵ロッカーが機能した. 中期膝伸展群は荷重応答期で腓腹筋の筋活動が大きいため背屈モーメントが十分に発揮されず, 踵ロッカー機能が低下しており, 初期膝伸展群は荷重応答期で前脛骨筋の筋活動が小さく背屈モーメントが発揮されないことから, 踵ロッカーが機能しないことが明らかになった.

  • 清水 新悟, 昆 恵介, 小林 俊樹, 猪田 邦雄, 花村 浩克
    2016 年 23 巻 p. 119-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    変形性膝関節症内側型の後足部に着目して, 後足部アライメントと膝関節の関係を調査した. まず床面から垂直に立てた踵骨の傾き (踵骨二等分線角) にて後足部の回内と回外の2群に分類し, Femorotibial Angleとの関係およびKellgren-Lawrence分類の関係を調査した. 次に後足部と内側裂隙率との関係の調査を行い, 最後に後足部と疼痛の関係の調査を行った. その結果, 後足部とFemorotibial Angleの相関は得られなかった. 後足部はFemorotibial Angleの角度の影響を受けないことが分かった. また後足部はKellgren-Lawrence分類や内側裂隙率, 歩行時痛や階段昇降時痛との相関が得られた. この結果から後足部を回内することで膝内側裂隙の負担を減らす防御反応が働いていることが推察された. 後足部回内により疼痛が軽減していると考えるならば外側楔型足底装具は後足部を回内方向へ誘導するため, 既に後足部回内により疼痛軽減が得られている状態からの外側楔型足底装具の効果は期待できないと考えられた. さらに後足部の過度な回内は逆スクリューホームムーブメントを引き起こす可能性があり, 後足部の回内外を考慮して足底装具を製作することが重要と思われた.

  • 畑 亮輔, 西野 勝敏, 大森 豪, 永野 康治, 田邊 裕治
    2016 年 23 巻 p. 129-138
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    変形性膝関節症 (膝OA) は, 膝関節の力学的環境の異常によって引き起こされる. この進行を予防及び治療するためには, 歩行などの荷重下動的状況において膝OAに作用する力学的要因を明らかにする必要がある. 本研究の目的は, 様々な膝OA進行度を有する対象の歩行中における膝関節を運動学・動力学的に分析することで膝OA進行に作用する力学的要因を検討することである. 対象は成人62名69膝とし, 膝OAの進行別にOA無 : 26膝, 初期OA : 16膝, 中高度OA : 27膝に分類した. 対象の歩行をモーション・キャプチャー・システムで測定し, 二方向X線撮影と三次元再構成法を用いて大腿脛骨運動を推定した. さらに, 膝の動力学的要素として下肢荷重線の脛骨近位関節面への通過点 (LAK point) やJoint reaction force, Joint momentを分析した. 中高度OAの歩行立脚期では, 膝屈曲量と前後変位量, LAK pointの前後移動量が有意に減少していたが, Joint reaction forceの内外側変化量は有意に増加していた. 初期OAでも, LAK pointの前後移動量が減じている兆候が見られた. さらに, 中高度OAのLAK pointは荷重応答期に内側へ急激に移動している傾向があった. 歩行立脚期では膝OAの進行に伴って上半身の重量が脛骨関節面の局所に集中しており, さらに膝関節内外側方向への力が増大していた. これらの力学的変化が膝OA進行に作用する可能性が示唆された.

3部 スポーツ
  • 岩迫 基樹, 林 豊彦, 田中 洋, 乾 浩明, 信原 克哉
    2016 年 23 巻 p. 141-150
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    野球の投球動作は下肢, 体幹, 上肢が協調動作する複雑な全身運動である. このような連動した運動によって, 運動エネルギーは身体中心部から上肢末端に効率的に伝えられる. この運動効果は 「運動連鎖」 と呼ばれている. この意味において体幹部は, 下肢と上肢の中継点として機能する. 投球動作における体幹運動の指導用語のひとつに 「胸の張り」 があるが, この運動も運動連鎖に関係していると考えられている. この運動を定量評価することを目的として, 著者らは先行研究で新しい評価パラメータSを提案した. 本研究では, パラメータSを投球動作解析に応用し, 投球動作における上胴から上肢末端までの運動連鎖について, 運動学とエネルギー伝達の両面から分析した. 健常な18名の投手を用いた実験結果から, 胸の張りは肩関節内旋との間で運動連鎖が生じている可能性が示唆された.

  • 木下 まどか, 藤井 範久
    2016 年 23 巻 p. 151-160
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, テコンドーの前回し蹴り動作における 「素早さ」 を明らかにすることであった. そこで, 蹴り動作移行前に行われるステップ動作 (以下, リズム運動) に着目し, 主観的, 時間的, 速度的 「素早さ」 について検討した. その結果, 主観的 「素早さ」 は, リズム運動速度の周期および振幅の類似性によって評価することが可能であり, 時間的, 速度的 「素早さ」 とはトレードオフの関係になることが明らかになった. したがって, 指導の際には, どの 「素早さ」 を優先させているかに留意する必要がある. また, 時間的 「素早さ」 を高めるための巧みな技術は, 逆振り子的な身体重心速度方向の切り替えにあることが推察された.

  • 長尾 秀行, 山田 洋, 小河原 慶太, 有賀 誠司, 小金澤 鋼一
    2016 年 23 巻 p. 161-172
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, 力発揮能力改善を目的としたトレーニングであるクイックリフト (以下QL) 動作時の力発揮特性とそのメカニズムを検討することである. 代表的なQLであるパワークリーンを対象に挙上重量が大きい者と小さい者各6名の動作分析の結果, 最大挙上重量が大きい者は, 下肢関節最大トルクとセグメント間のエネルギの流出入量が大きく, 特有の反動動作が見られた. さらに, 最大挙上重量が大きい者と小さい者各10名の筋電図分析と動作分析の結果, 挙上重量が大きい者と小さい者間の下肢関節伸展筋の筋活動度は同等で, 屈筋と伸筋の筋活動から推定した関節剛性と関節トルク立ち上がり速度は挙上重量が大きい者の方が反動動作の前後において大きな値を示した. このことから, QL時の大きな力発揮には下肢関節の剛性を巧みに制御し, エネルギ伝達の効率化を図る必要があることが示された.

  • 大田 穂, 岩間 圭祐, 木塚 朝博
    2016 年 23 巻 p. 173-182
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    球技の実戦的な場面においては, ボールを処理することのみでなく, ほぼ同時に周囲の状況に関する情報を獲得して状況判断を行うことが要求される. このような場面においては, ボールや周囲の状況に関する複数の視覚情報をどのように獲得しているのだろうか. 本研究は, ランナーの状況判断を伴うゴロ捕球時における守備者の視線を評価した. その結果, 状況判断が早いほど, ボールから早く視線を離してゴロ捕球をし, ランナーに視線を向けずに状況判断をしていた. 本研究より, 状況判断を伴うゴロ捕球時に, 正確に捕球できるだけでなく状況判断が早く正確なパフォーマンスを示す守備者ほど, 周辺視野を活用してボールとランナーに関する視覚情報を同時に獲得する視覚探索をしていることが示唆された.

4部 ヒューマンインターフェース・機器開発・義肢装具
  • 矢島 大輔, Nguyen Xuan SON, 林 豊彦, 織田 孝, 乾 浩明
    2016 年 23 巻 p. 185-193
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    重度肢体不自由者は支援機器の操作に操作スイッチを用いる. しかし, 障害が進行性の場合, スイッチもしばしば更新する必要があるため, 一般に使用上の制約が大きかった. そこで著者らは, 反射型フォトセンサ列を用いて, 手指の動作からまばたき動作まで非接触で検出できる汎用操作スイッチVSN/1を開発してきた. しかし, まばたき検出時には, 不随意な周期的まばたきが誤入力となりやすい. それを防ぐために, 本研究では, まばたきによる信号波形の振幅的・時間的特徴を用いたリアルタイム信号判別処理を開発した. 健常者10名と筋萎縮性側索硬化症患者1名を用いて, まばたき検出の総合性能を定量評価した. その結果, 正入力率, 無動作 (反応) 率, 誤動作率がそれぞれ平均で97.0%未満, 7.4%未満, 0.1%未満であったことから, VSN/1は実用レベルの性能に達していることが示唆された.

  • 平松 祐太, 遠藤 雅也, 林 豊彦, 織田 孝, 乾 浩明
    2016 年 23 巻 p. 195-204
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    筋委縮性側索硬化症や脳性まひをはじめとする重度肢体不自由者は, 個人に合った支援機器を利用すれば, 生活の質を著しく改善できる. その利用には操作スイッチが用いられているが, 現在の技術レベルでは, 身体の痙攣や振戦などの不随意運動がスイッチを入れてしまうと, 機器への誤入力が起こってしまう. そこでわれわれは, 不随意運動がある重度肢体不自者でも使用できるように, 3軸地磁気センサを用いた操作スイッチGSN/1を開発した. 不随意運動による誤入力を最小にするために, 統計的パターン認識法のひとつであるフィッシャーの線形判別法を応用した. さらに, 健常者を用いた2種類の不随意運動 (痙攣, 振戦) のモデルを開発し, 不随意運動も起きる条件下におけるGSN/1の操作性能の定量評価に用いた. 実験結果より, 正しい入力を許容レベルに維持するために必要とされる 「痙攣および振戦の条件」 について明らにした.

  • 小西 有人, 小川 和徳, 福田 克幸, 岡 久雄
    2016 年 23 巻 p. 205-212
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    建設現場において高齢作業員の離職と若年作業員の減少が大きな課題となっている. この要因の一つに身体的負担の大きさが挙げられる. 身体的負担を軽減することができれば, 高齢作業員の離職率の低下や若年作業員の雇用促進が期待できる. 本研究では, 弾性素材が筋の収縮方向に張力を発生させることで建設作業をアシストする建設作業用アンダーウェアに着目し, そのアシスト機能の評価を行った. 3種類のアンダーウェアを用いてそれぞれ別の建設作業模擬実験を行った. 結果より, 配筋模擬実験と壁塗り模擬実験においては三角筋において設計思想通りのアシスト効果が得られている事が確認できた.

  • 吉田 晴行, 野条 久洋, 森本 正治, 天辰 直貴, 富山 弘基
    2016 年 23 巻 p. 213-222
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    義足足部・足継手部 (以下, 義足足部) の歩行機能評価に関して従来では, Rollover 特性を計測する試みがある. 但し, 静的・準静的試験機を用いた計測手法, あるいは被験者を介した動特性計測手法による議論であり, 義足足部が有する動的Rollover特性の客観的評価にまで至っていない. 併せて, シューズ着用を想定した義足足部の動的Rollover特性についても客観的評価が課題に残る. そこで本研究では, 義足足部の体系的機能評価を目的とし, 体重レベル・歩行周期の組から決定される動歩行を義足足部へ繰り返し再現可能な歩行負荷シミュレータとしてISO22675準拠試験システムを構築した. そして, 本試験システムの利用可能性を提示する一環として, 義足足部単体および義足足部とシューズとの組が有する機能評価に着目し, 動的Rollover特性の計測評価を試みた. その結果, 1) 平坦状の足底面を有するStable シューズ着用時では, 義足足部本体が持つRollover特性を保持し, かつ踵接地時における衝突の緩和が見込める点, 2) 円弧状の足底面を有するUnstable シューズ着用時では, 義足足部単体と比較して義足歩行時のRollover特性を高めることが可能であり, ユーザーの活動度を向上させる用具としての利用が見込める点, を動的Rollover軌跡と床反力・反モーメントの特性傾向により明らかにした.

  • 森本 正治, 吉田 晴行, 富山 弘基, 橋本 泰典
    2016 年 23 巻 p. 223-232
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    立脚期の下腿部に加わる負荷波形を繰り返し再現できる歩行負荷シミュレータを製作して足部・足継手部に作用するScrew Lineと足底揺動板との交点としての着力点の三次元Rollover軌跡を表示するとともに, 足底に作用する力ベクトルとモーメントベクトルを重ね合わせて表示することで運動学的特性と力学的特性を併せて表示できる計測評価手法を開発した. これを用いて代表的な義足足部・足継手部の歩行機能特性をアライメント変化や負荷面の傾斜変化に対応して計測し, 比較検討した. さらに, 義足部品で構成する下肢麻痺を模擬した下腿部に磁気粘性流体ブレーキを足継手部に組込んだ下肢装具を装着して負荷分担機構を介して試験機に取付け, 足部・足継手部の歩行機能特性を計測して, ブレーキ生成による足継手周りのトルクを可変制御することによりRollover特性が改善することを示した.

  • 井上 仁瑛, 山田 宏
    2016 年 23 巻 p. 233-242
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー

    低反発ウレタンフォームマットレスは仙骨など突起部の体表面圧を低減する. ウレタンフォームには圧力分配の性質があるが, 低反発マットレスの体圧分散能がどの材料力学特性に起因するのか把握する必要がある. 本研究では, 低反発と普通のウレタンマットレスを選び, 圧縮試験, 応力緩和試験, 段差試験を行うとともに, 超弾性モデルを用いた理論的予測を行って, 突起部でのマットレスの圧力分配の特徴を調べた. その結果, 一定圧縮ひずみでの応力緩和後に着目した応力−ひずみ曲線において, ウレタンフォームの伸展性が大きい区間が存在し, その応力が低いことで, 低い圧での圧力分配特性が向上していた. また, 圧力が高まると普通のマットレスとの差異が消失した.

feedback
Top