2018 年 24 巻 p. 17-26
肩関節の運動解析は, 上肢の動作解析には欠かせないが, 複合関節であるため精密な解析は困難である. 特に肩甲骨の運動は, 胸郭上を滑走するため, 体表面上の骨特徴点を用いた測定が困難である. その問題を解決するために, モーションキャプチャ・システムで測定した複数の体表面マーカの3次元位置から, ニューラルネットワークで肩甲骨の姿勢を推定する方法を開発した. 訓練データには, CT画像から再構築した3次元骨モデルと透視X線画像から推定した肩甲骨の姿勢および体表面マーカの位置の同時測定データを用いる. 5名の健常者を用いた精度検証実験から, 上腕側方挙上時の肩甲骨姿勢を3.0deg未満の平均RMS誤差で推定できることを明らにした.