バイオメカニズム
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1部 身体計測・評価
パルスハイトコントロールの限界点を用いた瞬発的な力発揮特性の評価
小野 誠司板谷 厚速水 達也大山 卞 圭悟木塚 朝博
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2018 年 24 巻 p. 27-36

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抄録

多くのスポーツにおいて, 短時間に大きい力を発揮する能力はパフォーマンス向上のための重要な一要素となる. すばやい力発揮の能力を評価するために, これまでは力の増加率 (Rate of force development : RFD) が一般的な指標とされてきた. しかし先行研究において, RFDを算出する際にその算出区間や力レベルが統一されていないことに加え, 競技者においてはその値が天井効果を示すなどの問題もある. 一方, すばやい力発揮の特徴において, 力発揮時間を一定の値に維持しながら力の増加率をコントロールすることにより力発揮レベルを変えていることが見出されており, この発揮戦略はpulse height control (PHC) と呼ばれている. このPHCによって発揮される力レベルには限界があり, 個々によって異なる限界点を示すことが報告されている. そこで本研究は, PHC限界点を用いたすばやい力発揮特性の評価を試み, 競技者におけるすばやい力発揮特性の評価基準を再検討した. その結果, PHC限界点を考慮したRFDには競技種目間で有意な違いが認められ, すばやい力発揮の能力を評価するうえで, PHC限界点の算出が有効な手法となることが示唆された.

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© 2018 バイオメカニズム学会
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