2020 年 25 巻 p. 125-137
変形性膝関節症の治療リハビリテーションに膝装具が多く利用されている. 本研究では, 変形性膝関節症関節の有限要素モデルと歩行運動生成モデル, さらに膝装具のモデルを統合し, 膝装具の力学的機能の評価法を確立することを目的とした. 医療画像から膝関節有限要素モデルを構築し, 歩行運動生成モデルから得られる関節圧縮力を膝関節モデルの有限要素解析の境界条件とした. 3種類の膝装具を想定し, 装具の力学的な機能を大腿骨への外反, 回旋モーメントとして表し, これらも有限要素解析の境界条件として加え, 歩行中の3つの姿勢における半月板の接触圧力分布を調査した. その結果, 装具未装着時と比較し, いずれの装具においても内側半月板の接触圧力を低減させる効果があることが明らかになった.