Bird Research
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原著論文
チュウヒの採食環境としての人工浮島の効果
平野 敏明
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2005 年 1 巻 p. A15-A23

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抄録

2004年12月から2005年 4月上旬にかけて,渡良瀬遊水地の谷中湖で,ヨシなどの背の高い植物が植栽されている浮島がチュウヒの探餌のための環境利用におよぼす影響を調査した.調査は,浮島が設置された方形区(500×500m)と浮島が設置されていない方形区で行なわれた.浮島設置区域では,チュウヒの探餌飛行の頻度は,浮島非設置区域より有意に多かった.また,浮島設置区域において,チュウヒの探餌飛行は,浮島が含まれる方形区の方が,含まれない方形区より有意に多かった.さらに,浮島設置区域とヨシ原に設置された方形区の探餌飛行の頻度は,両者で有意な違いがなかった.調査中,合計17回の狩り行動が観察された.このうち,76.5%は浮島の縁の部分で,17.6%は浮島の上,5.9%は湖上であった.以上の結果から,浮島は,越冬期におけるチュウヒの重要な生息環境となっていると思われる.これは,浮島に植栽されている背の高い植物が,チュウヒの不意打ちハンティングに効果的であることによると考えられる.

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