Bird Research
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調査データ
市民参加による広域を対象とした生物調査の可能性
近畿2 府4 県における駅のツバメ営巣調査結果およびデータ公開
大澤 剛士和田 岳
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 12 巻 p. R1-R8

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抄録

 市民参加型の生物調査は広域,多点を対象とした調査が可能である反面,誤同定が混入しやすいという問題がある.同時に,調査場所がアクセスしやすい場所に偏る,調査労力が一定にならないといったサンプリングバイアスの問題も発生しやすい.身近な普通種であるツバメを対象とした,鉄道駅における営巣調査は,これらの問題を解決できる理想的な調査である.なぜなら,1) 駅は,市街地から郊外まで,ある一定以上の間隔を置いて配置されている,2) 規模には違いがあるものの,駅舎は基本的にコンクリートで作られたオープンな建物であり,物理環境が類似しているといったサンプリング上の偏りを排除するために有利な条件に加え,3) 公用地である駅舎は私有地に比べて人がアクセスしやすいという,一般人が調査を行いやすい条件もそろっている.本稿は,2012年5月から7月にかけて実施された近畿2府4県を対象とした駅におけるツバメの営巣調査の結果概要およびデータ公開を通し,市民参加型調査の有効性について論じた.なお,全てのデータはCreative Commons CC-BY 4.0国際を付与し,オープンデータとして公開する.

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© 2016 特定非営利活動法人バードリサーチ
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