Bird Research
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原著論文
どのようなごみ収集容器であればカラス類に荒らされないのか:函館市の事例
石川 尭海荒 奏美三上 修
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2017 年 13 巻 p. A43-A53

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抄録

 ハシブトガラスとハシボソガラスは生息域が人間の生活圏と重複するため,様々な問題を引き起こしている.その問題の1つにカラス類によってごみが散乱させられること(ごみ被害)がある.本研究では,函館市において,ごみ被害を減らすための方策を考えるべく,以下の3つの調査を行なった.1つ目は,「夏と冬で,ごみが荒らされた頻度(ごみ被害率),荒らされたごみ収集容器の形式,および,ごみが荒らされた住宅の形式,に違いがあるか」である.2つ目は,「ごみを出す時間帯によって荒らされやすさは異なるか」である.3つ目は,函館市内の収集容器のうちもっとも多く使用されている金属製メッシュ容器について「どのような金属製メッシュ容器に入っているごみが荒らされやすいか」である.調査の結果,被害率は冬のほうが高かったが,荒らされやすい収集容器および住宅の形式には季節による影響はなかった.早く出されたごみのほうが荒らされており,金属製メッシュ容器は,中のごみが接している面が多いほど,網目の大きさが大きいほど荒らされる率が高く,かつ側面については地上から40cm以内にあるごみがつつかれていた.以上の結果から,ごみを荒らされないためには,夏と冬で対策を変える必要はないが冬期にはより注意が必要であること,ごみ収集容器にごみを入れすぎないこと,大きな網目のごみ収集容器を使っている場合には付加的な対策を施すこと,が有効であることが示された.

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