和歌山県の河川中流域に位置する調査地では,2017年10月に大規模な降雨があり,その越冬期にはコガモがほとんど見られなかった.そこで,2017年とその前後の3か年の秋季渡来期におけるコガモの個体数,降雨および水位の関係を検討し,水位がコガモの個体数におよぼす影響について考察した.調査期間中に降雨期間は70例あり,そのうち67例で移動平均乖離率を算出することができた.その結果,一定以上の水位上昇があった場合,水位の上昇が個体数の減少に影響をおよぼすことが示唆された.水位が一定の値を越えて上昇した場合,調査地の採食場所あるいは休息場所としての利用価値が減退し,コガモは調査地から他の場所へ移動するものと考えられた.また,2017年10月のように,コガモが飛来し始める時期に大規模な降雨があった場合は,コガモが調査地への定着を放棄する可能性のあることも示唆されたが,このことについてはより一層のデータを蓄積して検証する必要がある.