近年,非特異的腰痛においては心理・社会的要因が関与している可能性があるといわれている.そこで今回,原因不明の腰痛を有する者(原因不明腰痛群)51名(男性28名,女性23名,平均年齢23.3 ± 6.5歳;19歳~48歳),後部障害型腰痛の可能性が考えられる腰痛を有するもの(後部障害型腰痛群)34名(男性27名,女性7名,平均年齢21.4 ± 2.4歳;19歳~30歳),および対照群(非腰痛群)85名(男性58名,女性27名,平均年齢20.6 ± 2.3歳;19歳~38歳)の計170名を対象として,心理・社会的要因の評価を行った.評価尺度として,GHQ-12:精神的ストレスによる身体的症状,不安と不眠,社会的活動障害,うつ傾向の存在,患者用BS-POP:整形外科患者における精神医学的問題,STAI(A-state:検査を実施したときの主観的な不安,A-trait:普段においてどの程度不安になりやすいかという傾向)を用いた.GHQ-12の合計得点の平均は原因不明腰痛群が28.5 ± 4.5点,後部障害型腰痛群が26.2 ± 6.5点,非腰痛群が23.8 ± 5.8点であり,原因不明腰痛群,後部障害型腰痛群,非腰痛群の順で高値を示した(p<0.001).患者用BS-POPの合計得点の平均は原因不明腰痛群が17.5 ± 2.9点,後部障害型腰痛群が16.7 ± 3.0点,非腰痛群が15.7 ± 2.6点であり,原因不明腰痛群,後部障害型腰痛群,非腰痛群の順で高値を示した(p<0.001).STAI(A-state)の合計得点の平均は原因不明腰痛群が46.8 ± 7.9点,後部障害型腰痛群が45.0 ± 10.4点,非腰痛群が44.0 ± 9.8点であり,原因不明腰痛群群,後部障害型腰痛群,非腰痛群の順で高値を示したが,統計学的有意差がみられなかった.STAI(A-trait)合計得点の平均は原因不明腰痛群が51.5 ± 7.9点,後部障害型腰痛群が48.0 ± 10.1点,非腰痛群が47.0 ± 8.9点であり,原因不明腰痛群,後部障害型腰痛群,非腰痛群の順で高値を示した(p<0.001).これらの結果より,GHQ-12,患者用BS-POP,STAI(A-trait)の3つの評価法では,原因不明腰痛群における心理・社会的要因の大いなる関与が示唆されたが,逆にSTAI(A-state)の評価法ではこれらの関与が証明できなかった.