理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 605
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内部障害系理学療法
食道癌根治術の肺合併症への影響要因
―周術期理学療法効果の視点から―
*中村 智恵子樋口 謙次安保 雅博
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抄録
【目的】39回全国理学療法学会において、我々は高齢群(65歳以上)の肺合併症への影響要因を多変量解析により抽出し、非高齢群(65歳未満)との比較を行った。その結果、高齢群では肺合併症への有意な影響要因は抽出されなかった。しかし、非高齢群においては術前の%肺活量(%VC)の低下が術後肺合併症への影響要因として抽出された。そこで今回、術後肺合併症予防を目的として行われている周術期理学療法(術前理学療法、術後早期理学療法)の効果に着目し、周術期理学療法による術後肺合併症への影響について統計学的調査を行い、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】1998年から2003年に当院において食道癌根治術を施行した101名(男性86名、女性15名、平均年齢56.9±8.1歳)を対象とした。術後肺合併症への影響要因として(1)年齢、(2)BMI、(3)喫煙、(4)手術時間、(5)術中出血量、(6)内視鏡使用の有無、(7)人工呼吸器装着日数、(8)反回神経麻痺の有無、(9)腫瘍の進行度(Stage)、(10)術前%VC、(11)術前%一秒量、(12)術前PF、(13)術前理学療法の有無の13項目をカルテより後方視的に調査し、術後肺合併症へ影響する要因として選択した。これら13項目の要因から、術後肺合併症へ有意に影響する要因をロジスティック回帰分析により抽出した。統計にはSPSSを使用し、危険率5%の有意水準にて行った。
【結果】術後肺合併症へ有意に影響を与える要因として、人工呼吸器装着日数(Odds比1.525)、術前理学療法の有無(0.033)、腫瘍stage2(0.031)、腫瘍Stage3(0.031)、%一秒量(0.021)が抽出された。
【考察】食道癌根治術においては無気肺や肺炎など肺合併症の発生率が高く、その要因についての報告は様々である。また、我々理学療法士が肺合併症予防への関与が有効であるかは明確にはされていない。更に、周術期理学療法として関与可能な要因は、術前理学療法や人工呼吸器装着日数など限られている。当院における周術期理学療法は、外来から行う術前理学療法、術後早期理学療法をクリニカルパスウェイに則して行っている。術前理学療法はオリエンテーション、呼吸体操、腹式呼吸、喀痰練習、全身調整運動が中心であり、主に胸郭可動域の拡大、横隔膜呼吸の促通、エアエントリーの改善による喀痰困難の軽減が目的である。また術後早期理学療法は、手術翌日から理学療法を再開し、早期の人工呼吸器からのウィ-ニングや離床へ介入している。今回の結果より、術後肺合併症の予防として、早期の人工呼吸器からのウィ-ニングや術前理学療法が抽出された。このことは、今まで明確にされていなかった理学療法士による周術期理学療法の介入が、術後肺合併症の予防に有効であることが示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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