2018 年 2018 巻 47 号 p. 35-57
相模湾とその周辺地域において、16種の熱帯性魚類(ゴマフエダイ、ナミフエダイ、オキフエダイ、クロコショウダイ、ユゴイ、テンジクカワアナゴ、タメトモハゼ、ミナミサルハゼ、タネハゼ、ノボリハゼ、クチサケハゼ、ヒナハゼ、シジミハゼ、クロコハゼ、ミナミヒメハゼ、クロホシマンジュウダイ)と、2種の分布が南偏した温帯性魚類(チワラスボ、クロホシヤハズハゼ)が採集された。標本・写真資料調査および文献調査の結果、これらの魚類の多くは、近年になって当該地域における記録地点数が増加していた。また、黒潮沿岸に位置する九州以北の各地域において、これら魚類の合計記録種数および定着種数は経年的な増加傾向を示した。上述の結果は、暖水性魚類が黒潮沿いに北上傾向であることを示しており、地球温暖化に伴う海水温上昇が暖水性魚類の分布に影響を与えている可能性を示唆している。