抄録
止水性生活史をもつ小型の日本産ハゼ科ヨシノボリ属魚類2 新種、Rhinogobius tyoni と R. telma を記載した。Rhinogobius tyoni は背鰭前方に小円鱗を被り背鰭前方鱗数8–17、胸鰭鰭条数20–23、縦列鱗数28–35、脊椎骨数26、雄の第1 背鰭は台形か半円形で第3 棘が最長で倒しても第2 背鰭始部に達しない、後眼肩甲管が通常なく前鰓蓋管が通常ある、第1 背鰭前部に黒系色斑がない、尾鰭中央部に雄では2–7 本の赤紫系色の横線があり、雌では1–7 本の同色の横線や横点列があるなどの特徴で、同属他種から区別できる。Rhinogobius telma は背鰭前方に小円鱗を被り背鰭前方鱗数3–15、脊椎骨数26、雄の第1 背鰭は台形や将棋駒形で第3 棘が最長で倒しても第2 背鰭始部に達しない、後眼肩甲管と前鰓蓋管がない、第1 背鰭前部に黒系色斑はなく中央部に青系色の1 横斑列がある、尾鰭中央部に数本のグレイ系色の横点列があることなどで、同属他種から区別できる。なお、カラー写真は本報告のweb 版(http://nh.kanagawa-museum.jp/research/bulletin/)を参照。