桐生大学紀要
Online ISSN : 2435-7049
Print ISSN : 2186-4748
慢性期患者事例を用いた看護過程演習の効果と課題
複数の患者事例導入の試み
佐藤 栄子小野 千沙子
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2014 年 24 巻 p. 117-125

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抄録
複数の慢性期患者事例を用いた看護過程演習を,グループ学習形式で実施し,質問紙調査と学生の提出物の分析 から効果を検討した.A 大学の看護学科2年生83名を対象とし,74名から回答を得た(回答率89.2%).演習で学生 が学んだことは【疾患に関する知識】,【看護過程の展開方法や看護援助内容】,【慢性疾患やがんの患者の特徴や看 護援助の考え方】,【グループ学習の効果や重要性】,【他のグループ発表を聞くことによる自分とは違う意見がある ことへの気づき】,【同じ事例のグループ学習結果を比較することによる新たな気づき】等が挙げられた.学生の大 部分はグループメンバーと協力できたと回答しており,その内容は【グループでの役割や作業を分担して進めるこ と】,【意見を出して話し合うこと】,【グループ学習の時間に集まること】等だった.演習でわからなかったことや 難しかったことは,【疾患や治療の理解】,【看護過程の展開方法】,【患者の個別性の理解】,【グループでの協力】 が挙がった.さらに8割以上の学生が演習は役に立つ,満足と回答していた.しかし教員が設定した目標診断と実 際に抽出した看護診断が50%以上合致したのは半数弱のグループだった.演習について学生自身は,学生同士の協 力や問題解決能力の向上,看護過程の展開方法や看護方法の理解に効果があると認識していたが,提出物の分析か らは課題が多いことが明らかになった.
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© 2014 桐生大学・桐生大学短期大学部
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