桐生大学紀要
Online ISSN : 2435-7049
Print ISSN : 2186-4748
小学校養護教諭が行う児童虐待対応に校内組織体制が与える影響
青栁 千春阿久澤 智恵子下山 京子佐光 恵子
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2014 年 24 巻 p. 25-32

詳細
抄録

本研究の目的は,小学校養護教諭を対象に児童虐待に関する校内組織体制について調査し,児童虐待を疑ったり 気づいたりする経験との関連,校外機関との連携の現状を明らかにすることにより,今後の小学校養護教諭が行う 児童虐待対応の在り方について検討することである.A 県内の全公立小学校(344校)に勤務する全養護教諭を対 象とし,児童虐待に関する校内組織及び校外機関との連携について自記式質問紙調査を実施し,146人から回答を 得た.結果,児童虐待に関する校内組織体制の設置の有無が,児童虐待の早期発見に影響を与えていることが示唆 された.また,校内で児童虐待に気づいたり疑ったりした場合においても,児童相談所などの校外機関と連携をし なかった理由は,「児童虐待の確証がもてなかったり,相談又は通告後のことを不安に思ったりしている」などが 明らかとなり,児童虐待の対応や校外機関に関する知識や情報の不足が原因の一因であることも示唆された.今後 は,児童虐待の発見の遅れを防ぐために,校内組織体制の確立を難しくしている要因について明らかにするととも に,関係職種や校外機関が互いの役割を理解し,具体的にどのように連携を図ることが有効であるかを検討するこ とが必要である.

著者関連情報
© 2014 桐生大学・桐生大学短期大学部
前の記事 次の記事
feedback
Top