桐生大学紀要
Online ISSN : 2435-7049
Print ISSN : 2186-4748
初産婦が感じた母児同室のメリット
KJ 法を用いた分析(第1報)
近藤 桂子鈴木 由美木村 優子島田 葉子
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2014 年 24 巻 p. 95-102

詳細
抄録

1989年のWHO/UNICEF による「母乳育児の保護,推進,支援,産科医療施設の特別な役割」の中で,母児同室 での感染予防や母乳育児のメリットを提唱している.  今回個室で分娩後2時間より母児同室を開始した,初産婦がとらえた母児同室制についての語りをKJ 法にて分 析し,メリットについて検討した.その結果,抽出されたメリットは《大変さを乗り越える試練》《見守り寄り添 う看護》《愛着形成の場である》の3つのカテゴリーで構成された.《大変さを乗り越える試練》は〈大変でも退院 までの練習期間である〉〈自信をもって退院できる〉,《見守り寄り添う看護》は〈いつでもフォローしてくれる〉 〈自立性が芽生える〉,また《愛着形成の場である》は〈子どもが側にいるということ〉〈常に子どもと共にすごし ている〉のサブカテゴリーから構成されていた.出産前に母児同室制について十分に理解できないまま出産して戸 惑っていた母親も,母児同室で育児することは退院してからの生活の予測が立ち,看護者に聞いて疑問などを解決 して自信をもって育児できる体験と前向きにとらえていた.この背景には看護者の見守り,母親に対する気配り, 常にフォローできることを伝え,個室での母児同室で初産婦が陥りがちな問題を予測してケアをしており,看護者 として母親の状況を察知して頻回訪室の重要性が示唆された.

著者関連情報
© 2014 桐生大学・桐生大学短期大学部
前の記事 次の記事
feedback
Top