抄録
栄養学科18歳女子学生とその母親を対象に,母親の最終学歴別に栄養素摂取状況を比較した.食事摂取基準にお ける目標量に不適合な栄養素数は,女子学生及び母親ともに母親の最終学歴別で有意な差はなかったが,個々の栄 養素をみると,食物繊維及びカリウムでは高校卒業以下の群で,飽和脂肪酸及び食塩相当量では短大・専門学校卒 業及び大学卒業以上の群で食事摂取基準に不適合な者の割合が高くなった.また,エネルギー産生栄養素バランス においては,高校卒業以下の群では炭水化物エネルギー比が高く,短大・専門学校卒業及び大学卒業以上の群では 脂肪エネルギー比が高くなっていた.推定平均必要量に不適合な栄養素数は,女子学生では母親の最終学歴が高い ほどその数が有意に少なくなる傾向にあり,母親の教育歴がその子の栄養素摂取状況に影響を及ぼしていることが 示唆された.推定平均必要量策定栄養素では,ほとんどの栄養素で高校卒業以下の群が最も摂取量が少なく,推定 平均必要量に満たない者の割合も高かったことが影響していると考えられる.これらのことから,母親の最終学歴 は健康意識や食生活・健康行動に影響を及ぼす要因の一つとして今後の栄養政策の課題であり,食環境整備も含め た食生活支援が重要であると考えられた.