高校の調理科は文部科学省のデータで職業学科(家庭)に属し,日本の全高校生の中で1.3%しか学んでいないと 報告されている1).それ故,食を中心にした特徴的学習をしている調理科に通う高校生を対象にした和食に関する 調査研究は貴重である.さらに,高校生という若い世代を対象に和食に対する調査を行うことは,これからの和食 への関心の継続に繋がるだけでなく,将来的な食育の発展にも寄与することが期待できる. 本研究では,和食の中でも日本古来の「和風だし」に焦点を絞り,調理科生徒の味覚について官能評価・アンケー ト調査を用いて現状の把握と課題の抽出を行った.官能評価において,Cだし「かつおだし(顆粒)」が最も好まれる 結果で,一番まずかっただし汁はBだし「昆布だし(顆粒)」で半数を超えていた.今回調査を行った調理科生徒の家 庭では,一般的な料理を作る際「顆粒だしの素」を使用している割合が55%,味噌汁を作る際は53%,と「顆粒だし の素」を使用している割合が高かった.家庭で使用している‘だし’が生徒の好みに影響していることが考えられた.