抄録
高齢者・認知症患者の呼吸器感染症,とくに肺炎についての早期発見の重要性が指摘されている.早期発見をす
るために現在注目されているフィジカルアセスメントスキルは適切なケアを実施するための観察力・的確な看護判
断能力のコアを構成する要素の1つである.
経験年数に関係なく同じ観点で患者を診なければ日々の観察やケアが継続されない.個人の観察能力差を埋め,
看護師が呼吸器系に関する共通した知識,フィジカルアセスメント技術を持ち,一定の能力を保つ必要がある.そ
のために研修という形をとり経験年数に関わらず,一病棟の看護師全員に教育の機会を設けることが必要であると
考える.そこで本研究では呼吸器系フィジカルアセスメントの研修を行い,その前後で患者の呼吸器系の観察行動
の変化について調査した.
研修前未実施だったが研修後実施に変化したのは視診項目9項目のうち「胸郭の動きの左右対称性」,「胸壁などの皮膚の状態」,「胸郭拡大の状態」,聴診項目3項目のうち「吸気と呼気の音の割合」,「聴診呼吸個所数:前胸部」,「聴診個所数:背部」であった.
研修前後とも実施されていなかったのは視診項目の「呼吸の形式」,「呼吸数」,「吸気・呼気・休止期の時間の長さの割合」の3項目であった.