大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
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大阪府における環境および食品中放射能調査(平成22年度報告)
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2011 年 49 巻 p. 24-30

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抄録

平成22 年度の文部科学省委託により実施した大阪府における環境および各種食品中放射能調査結果を報告する。調査は、降水中の全ベータ放射能測定、環境試料(降下物,大気浮遊じん,上水,海水,土壌,海底土)および各種食品試料中のガンマ線核種分析[セシウム137,ヨウ素131,カリウム40 等]および空間放射線量率について実施した。 また、平成23 年3 月11 日の東北地方太平洋沖地震により発生した福島第1 原子力発電所の事故を受け、文部科学省の指示により、3 月12 日からモニタリングポストの空間放射線量率調査、3 月18 日からは毎日、上水(蛇口水)および定時降下物のガンマ線核種分析を行った。 平成22 年度の環境および各種食品中の放射能および放射線のレベルは、ほぼ平常値であったが、第4 四半期(1 月から3 月)の大気浮遊じん試料より福島第1 原子力発電所事故由来と考えられるヨウ素131 を極微量検出した。しかし、その濃度は0.016 mBq/m³ であり、これを1 年間吸い続けたとしても実効線量は約2×10 ⁻⁶mSv と一般人の線量限度1 mSv/年に比べて十分低く、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。また、本年度も上水の原水(淀川河川水)から医学利用に由来すると考えられる極微量のヨウ素131を検出したが、その濃度は約0.6 mBq/L 前後であり、飲食物の摂取制限に関する指標値(300 Bq/kg 以上)から判断して、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。 福島第1 原子力発電所の事故に伴うモニタリング強化において、平成23 年3 月末現在、空間放射線量率の異常値や人工放射性物質は検出されていない。 さらに、ガンマ線核種分析の精度確認のため(財)日本分析センターとのクロスチェック(分析比較試料7 試料)を行った結果、ガンマ線核種分析の精度は確保されていることを確認した。

© 2011 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所
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