大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
ISSN-L : 1343-2923
49 巻
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  • 2011 年 49 巻 p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府ではウエストナイルウイルス(WNV)の侵入を監視する目的で、2003 年度より媒介蚊のサーベイランス事業を実施している。また、死亡原因の不明な鳥死骸が2 羽以上同地点で見られた場合、その鳥についてもWNV 検査を実施している。 2010 年度は6 月末から9 月末にかけて府内20 カ所で蚊の捕集を行い、得られた雌の蚊についてWNV遺伝子の検出を試みた。捕集された蚊は6 種4146 匹で、そのうちアカイエカ群(40.2%)とヒトスジシマカ(53.4%)が大部分を占め、他にコガタアカイエカ(6.1%)、シナハマダラカ(0.22%)、トウゴウヤブカ(0.02%)、キンパラナガハシカ(0.02%)が捕集された。定点及び種類別の蚊340 プールについてWNV 遺伝子検査を実施したが、すべての検体においてWNV は検出されなかった。また、2010 年度当所に搬入された死亡カラス(7 頭)の脳を対象にWNV 遺伝子検査を行ったが、WNV は検出されなかった。
  • 2011 年 49 巻 p. 7-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
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    サイクラミン酸の分析法を高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC-MS)を用いて検討した。試料を透析し、透析外液をLC-MS を用いて測定した。妥当性評価の結果、良好な精度が得られた。本法は簡便で高感度な分析法であるため、サイクラミン酸の検査業務に有用であると考えられる。
  • 2011 年 49 巻 p. 11-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成 18 年度から平成 22 年度までの 5 年間(年 1 度)に実施した、りんごジュース中のパツリンの検査結果をまとめた。総数75 検体について分析した結果、2 検体からパツリンが検出された。このうち、食品衛生法の規格基準値(0.050 ppm)を超えたものはなかった。
  • 2011 年 49 巻 p. 15-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    豚、牛、鶏の筋肉、牛乳および鶏卵中から17 種の駆虫薬を分析する簡便で迅速な方法を確立した。試料からの抽出にはアセトニトリルを用い、精製には粉末状のODS およびPSA による分散固相抽出を行った。 測定には高速液体クロマトグラフ‐タンデム質量分析計を使用した。0.005 および0.01 μg/g 添加試料からの平均回収率は70-113%、併行精度は1-22%であった。
  • 2011 年 49 巻 p. 20-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    畜産食品中の残留ホルモン剤の一斉分析法を高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)を用いて検討した。食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)および牛肝臓に関して7 種類のホルモン剤について一斉分析が可能になった。
  • 2011 年 49 巻 p. 24-30
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成22 年度の文部科学省委託により実施した大阪府における環境および各種食品中放射能調査結果を報告する。調査は、降水中の全ベータ放射能測定、環境試料(降下物,大気浮遊じん,上水,海水,土壌,海底土)および各種食品試料中のガンマ線核種分析[セシウム137,ヨウ素131,カリウム40 等]および空間放射線量率について実施した。 また、平成23 年3 月11 日の東北地方太平洋沖地震により発生した福島第1 原子力発電所の事故を受け、文部科学省の指示により、3 月12 日からモニタリングポストの空間放射線量率調査、3 月18 日からは毎日、上水(蛇口水)および定時降下物のガンマ線核種分析を行った。 平成22 年度の環境および各種食品中の放射能および放射線のレベルは、ほぼ平常値であったが、第4 四半期(1 月から3 月)の大気浮遊じん試料より福島第1 原子力発電所事故由来と考えられるヨウ素131 を極微量検出した。しかし、その濃度は0.016 mBq/m³ であり、これを1 年間吸い続けたとしても実効線量は約2×10 ⁻⁶mSv と一般人の線量限度1 mSv/年に比べて十分低く、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。また、本年度も上水の原水(淀川河川水)から医学利用に由来すると考えられる極微量のヨウ素131を検出したが、その濃度は約0.6 mBq/L 前後であり、飲食物の摂取制限に関する指標値(300 Bq/kg 以上)から判断して、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。 福島第1 原子力発電所の事故に伴うモニタリング強化において、平成23 年3 月末現在、空間放射線量率の異常値や人工放射性物質は検出されていない。 さらに、ガンマ線核種分析の精度確認のため(財)日本分析センターとのクロスチェック(分析比較試料7 試料)を行った結果、ガンマ線核種分析の精度は確保されていることを確認した。
  • 2011 年 49 巻 p. 31-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    According to the “Act on the Control of Household Products Containing Harmful Substances,”tributyltin compounds (TBT) and triphenyltin compounds (TPT) are banned from using at present. In order to introduce GC/MS method (gas chromatography mass spectrometry) as an official analytical method for TBT and TPT, a round-robin test, in which identical samples (textile products, water-based adhesives, and oil paints) are analyzed by several groups using the same method, was conducted. This institute also joined the project and examined its analytical results through comparison with the results obtained around three months before by National Institute of Health Sciences. The results are as follows; (1)Both reproducibility and surrogate recovery rate were consistent, and measurement up to the precision of 0.1 μg/g was possible. This suggests the possibility of adoption as the official analytical method. (2)Regarding TBT, almost the same results were obtained on all samples. (3)Regarding TPT, almost the same results were obtained on water-based adhesives. However, a slight decreasing tendency was observed on textile products due to the elapse of time (three months), and a distinct decrease was observed on oil paints. These phenomena may have been caused by the dephenylation of TPT. Although the setting concentrations of both substances were 0.1 μg/g, 1.0 μg/g, and 10 μg/g, these concentrations were lower than the figures of actual use. In addition, the case of detection of TBT is usually limited to the case as the impurity of dibutyltin (DBT), and TPT tended to show a time-dependent decrease. Apprehension is that when trace values of TBT and TPT are set as standard values for control, judgment for administrative measures may be difficult. It is considered that the standard values for control should be set in correlation with detailed up-to-date toxicological data.
  • 2011 年 49 巻 p. 39-44
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府では、「建築物飲料水水質検査業」事業者を対象に、大阪府建築物飲料水水質検査業外部精度管理を平成19 年度より実施してきた。平成21 年度は、亜鉛及びその化合物および蒸発残留物を対象とし、43機関を対象に精度管理を実施した。判定基準はZ スコア、機関内変動係数を用いた。本報では亜鉛およびその化合物の結果について報告する。判定基準のZ スコアが3≦|Z|で不満足となったのは、43 機関中3機関で、その原因は、機器の整備不良、不適切な使用方法、標準溶液の調製ミスによるものであった。
  • 2011 年 49 巻 p. 45-52
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府環境衛生課と共同で、府内建築物飲料水水質検査事業者の協力を得て、蒸発残留物を無機物質の対象項目として外部精度管理を実施した。参加機関(府内43 事業者)に対して、検査対象物質を一定濃度に調製した精度管理試料を送付し、参加機関で精度管理試料の検査を実施し、その回答結果を検証する方法で行った。今回の調査では、精度管理試料として当所水道水を使用し、検査法として重量法を用いて実施された。 検査に使用された蒸発皿の種類と機関数は、磁皿が27 機関、アルミカップが6 機関、ガラス(ビーカー・皿)が5 機関、ステンレススチール皿が3 機関、白金皿が2 機関であった。その結果、報告された43 の検査値の内、4 機関がZ スコア±3 以上を示し、外れ値となった。その外れ値の存在率は9.3%(4/43)であったことから、今回の外部精度管理はほぼ良好な外部精度管理であった。
  • 2011 年 49 巻 p. 53-60
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    オートアナライザーを用いた温泉水中遊離残留塩素の自動分析法の検討を行った。検水にシアン溶液を加えると検水中の遊離残留塩素はシアンと反応してクロルシアンを生成する。多孔質膜のガス透過性を利用して検水から生成したガス体のクロルシアンを分離し、4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法で検出し、自動的に遊離残留塩素を比色定量するものである。その結果、検量線は1 mgCl/L まで直線性があり、検出限界値(S/N=3)は0.01 mgCl/L であった。実験室で調製した5種類の温泉水の添加回収実験では、変動係数(n=5)は0.05 mgCl/L で10%、0.94 mgCl/L で0.9%を示し、回収率は94~108%で良好な精度と回収率を示した。本法では遊離残留塩素はクロルシアンとして選択的に分離され、また、クロルシアンは4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロンと選択的に反応し呈色することから、懸濁物質、着色成分や高濃度のNa⁺、K⁺、Ca²⁺、Mg²⁺、Cl⁻、SO₄²⁻、HCO₃⁻、SiO₃²⁻を高濃度含む試料であっても本法は妨害されなかった。また、本法は少量の検水(2.4 mL)で1 時間に20 試料の分析が可能であった。これらのことから、本自動分析は温泉水中の遊離残留塩素分析に有効な方法であると考えられる。
  • 2011 年 49 巻 p. 61-72
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府水道水質検査外部精度管理は、本府環境衛生課が公衆衛生研究所の協力を得て、府内の試験研究機関及び水道事業体を対象に実施している。平成22 年度は有機物質項目をシス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレンとし、府内32 機関の参加を得て実施した。評価はシス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレンについて個別評価を行ったのち、「外れ値」となった機関を除き、合算値であるシス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを評価した。 その結果、シス-1,2-ジクロロエチレンの個別評価では、Z スコア及び誤差率の両方が許容範囲を超えた「外れ値」は3 機関であった。トランス-1,2-ジクロロエチレンでは4 機関が「外れ値」となった。個別評価で外れ値になった5 機関を除外して合算値を評価したところ「外れ値」はなかった。 平成22 年度大阪府水道水質検査外部精度管理の有機項目シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン関する外部精度管理は、概ね良好な結果であった。ここではこれらを検証することにより、検査精度を向上するための留意点が明らかになったので報告する。
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