抄録
本稿では,視覚センサによる見守りシステムに関連する画像処理技術として,見守りにおいて必要とされる要素技術である人物検出,姿勢推定,行動認識に関する技術について述べる.画像処理による見守りには,ほかのセンサよりも広域かつ非接触で対象人物の状態を把握できるという大きな利点がある.その一方で,体形や姿勢変動といった人物に起因する見えの変化,背景や照明条件等に起因する見えの変化に対して,頑健な画像認識を実現しなければならない.これらの課題に対応するための手法として,人物の見えの変動を人体形状モデルを用いて統計的に表現するアプローチと深層学習を用いた機械学習による手法を中心に解説を行う.見守りシステムを想定した広角カメラ映像を対象に,人物検出,姿勢推定を行った事例及び時系列ニューラルネットワークを用いた行動認識事例を紹介しながら,見守りシステムにおける画像処理技術の現状と課題について述べる.