電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン
Online ISSN : 2186-0661
ISSN-L : 1881-9567
解説論文
地域におけるWi-SUNとスマートフォンの融合利活用による徘徊高齢者捜索支援システム
荘司 洋三
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2017 年 11 巻 1 号 p. 39-47

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抄録

筆者が提案する, 地域におけるWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)デバイスとスマートフォンの融合利活用による徘徊高齢者捜索支援システムについて解説する. Wi-SUNはスマートメータやHEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)等の応用を中心として, 今後地域の無線インフラとして広く浸透する次世代IoT(Internet of things)用無線通信規格である. 高齢者が携帯することを想定した, 小形の無線タグの発信信号をWi-SUN準拠の無線ビーコン(Wi-SUNビーコン)とすることで, 地域に散在するWi-SUN準拠の機器群を活用して構築可能な徘徊高齢者捜索支援システムを提案している. 同システムはWi-SUNタグを携帯する高齢者の活動エリアをリアルタイムに特定できることに加え, 行方不明高齢者等の捜索シナリオにおいて, 地域住民が参画・協力しやすいシステム設計としている. より具体的には, Wi-SUNビーコンを受信・処理可能な固定Wi-SUNルータと, USB型のWi-SUNモジュールをスマートフォンに接続するだけで実現可能なスマートフォン型モバイルWi-SUNルータを開発し, 誰でも簡単に捜索対象となっている高齢者の活動エリア特定に貢献できる仕組みを実現した. また, 「見かけたらタップ」ボタンを搭載したスマートフォン用アプリケーションを開発して, 直接高齢者に対して「声掛け」することに躊躇する住民であっても, 簡単に捜索に貢献できる仕組みを実現した. 最後に開発システムを活用して, 千葉県香取郡神崎町の住民参加の下実施された, 徘徊高齢者捜索模擬訓練の様子についても述べる.

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© 2017 一般社団法人 電子情報通信学会
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