電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン
Online ISSN : 2186-0661
ISSN-L : 1881-9567
解説論文
マイクロ波を用いた屋外ワイヤレス電力伝送技術
本間 幸洋
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2021 年 15 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

電気が実用化されてから100 年以上の間,電力を送電する方式として「有線」での方式が続けられ,その技術は洗練されてきた.数百km 離れた場所にあるダムからも,効率良く,安定した電力が安全に私たちの手元に届けられている.一方,「線」があることは何かと煩わしく,スマートフォンやパソコン等を多用する近年は,コンセントの周りはたこ足配線になりがちである.ましてや,屋外で電気を使おうとした場合はより大変である.バッテリーを用意しても,長時間の利用を続けることは難しく,また,屋外の有線での電源供給は手間が掛かる.このような「有線」による電力供給のデメリットから,線のない「ワイヤレス」での送電への期待が高まってきている.本稿では,各種あるワイヤレス電力伝送の技術の中から,屋外で利用することを想定した,マイクロ波を用いたワイヤレス電力伝送の技術を紹介する.ワイヤレス電力伝送の原理や課題を説明し,筆者らが実施してきた実証実験等の紹介を行い,屋外でのドローン等の移動型ロボットや緊急時の給電システム,センサへの給電などの利用シーンの検討例を示している.電気の新しい利用方法の検討の一助となることを願う.

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