抄録
カフェインは、キサントシンを前駆体として、3回のメチル化と1回の脱リボース化によって合成される。私たちは、これに関わるN-メチル化酵素、CaXMT、CaMXMT、CaDXMTをコーヒーから同定し、基質特異性を明らかにした。組換え蛋白質を用いたin vitroでのカフェイン合成にも成功した。しかしながら、酵素としての作用機構については、不明な点が多い。本研究では、その一端を知るために、蛋白質の特性を解析した。サンジソウのサリチル酸C-メチル化酵素(SbSAMT)は、CaMXMTと相同性が高く、in vitroでホモ二量体化することが報告されている。したがってCaMXMTもホモ二量体化する可能性が考えられた。さらに、上記3種類のN-メチル化酵素はアミノ酸レベルで80%以上の相同性があるため、ヘテロ二量体化することも示唆された。これらを検証するため、YFPの構造補完を利用したBiFC(Bimolecular Fluorescence Complementation)法を用いた。二量体化が細胞内で可視化できるからである。その結果、CaMXMTは、細胞質でホモ二量体化し、CaXMT およびCaDXMTとヘテロ二量体化することが明らかになった。このことは、カフェイン生合成経路が酵素蛋白質の二量体化によって制御される可能性を示唆する。現在、それらの基質特異性を解析中である。