バイオフィリア リハビリテーション研究
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バイオフィリアリハビリテーション学会国際部会(2003年-2007年)
脳の損傷した部位の活性化のための健側主導のリハ医学の提案
ドイツで第4 回国際大会を開催
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 57-62

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抄録

 介護保険を1995年に実施し、2000年の日本の介護保険法施行に先行して実施しているドイツでは、連邦社会保険庁の報告によれば、介護保険会計は1999年赤字に転落し、その後赤字が拡大し、2006年の末には流動性を確保するためのリザーブ(準備金)が底をつくと予想されています。創設から10年にして抜本的な改革が避けられない状態に追い込まれています。

 日本の団塊世代は800万人生まれ今でも700万人以上生きています。平均余命が90歳以上になるといいます。平均余命の伸びを予測せず設計しているすべての社会福祉制度は崩壊に向かいます。現在の推計では高齢者数は2015年には3188万人、約25%です(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。もっと増えるのでしょう。

 人口ピラミッドが逆転するという未曾有の社会だからこそ、「高齢障害者が自立生活をおくれるようになり、社会保障負担が減って、人類が皆希望をもち豊かに暮らせる」事が重要です。高齢障害者の自立の獲得を基礎とした新たな生活文化の確立が重要です。

他者依存、寝たきりになった方が儲かる、介護に依存すればすべてうまくいく、こうした考えを打破し、慶應義塾大学の創始者の福沢諭吉氏の「文明論の概略」に述べる「半開社会」から、自立した人々の「文明社会」に転換する機会にしなければなりません。

 次世代に過度に依存せずに社会を持続可能にするための手段は「リハビリテーション(リハ)医学の革新」として提供されつつありますが、真に提供できると言うためにはさらなる研究が必要です。そしてその上で、それを前提に、次世代に過重な負担を掛けずに済む社会構築の為の意識改革が必要です。

 リハ医学は、障害の受容を一側面に持っています。医学という名称を冠しながら、広範な医学に望まれる疾病・傷害の診断・治療・予防とは異なっているのです。我々の学会は、障害を受容するリハ医学、言い換えれば障害を残して寝たきりになる事を受容するリハ医学から、脳の損傷部位を回復にまではいたらないとしても、改善し、身体機能を取り戻すことの出来るリハ医学・医療の確立を期しています。リハ医学の革新の基礎は、以下の事実によっています。1987年に藤沢市において行われていた機能訓練会において障害を克服し職場に戻った人が何人も出ました。この機能訓練会は藤沢市と藤沢市医師会の間で「決して治らない人」をこの訓練会に受け入れると合意して設立された経緯があり、にもかかわらず、何人もの方々が障害を克服し、職場復帰しました。

 当時私は藤沢市会議員で「決して治らない人」が、障害を克服し、職場復帰するという異常な事態に気づき、この手法「タキザワ式リハ」を科学的なシステムとして社会に提案すべきであると認識したことから、取り組みが始まりました。機序解明に向け、2005年は4件の公的研究を実施しています。

 私はご挨拶に当たり、国際部会長・開催責任者として、「リハ医学の革新」による障害の克服が、人口ピラミッドが逆転するという人類にとって未曾有の変革期に、高齢社会に佇む人類の救済に他のどのような手段にもまして意義があり、我々の学会の活動がその実現を可能にすると述べました。本大会が、記念すべき、その嚆矢となったのです。

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