バイオフィリア リハビリテーション研究
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バイオフィリアリハビリテーション学会国際部会(2003年-2007年)
リハ医学の革新・障害を克服できるリハ医学の確立
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

 わが国の介護保険制度は定着し、利用者は当初の149万人から5年を経て2005年には329万人と増加し、総費用は急速に増大しています。高齢化の進む日本は、介護に関する問題について世界の手本になる可能性を持っています。こうした状況を踏まえ、「介護保険革新のための日本発の提案」、副題を「脳の傷害された部位の活性化の為の健側主導のリハ医学の提案」と題して第5回オーストラリア国際大会を2006年9月1日に実施しました。大会長の武藤佳恭慶応大学環境情報学部教授は、「新しく発見される物理現象を応用して、社会に役立てようと考えている」と述べました。国際大会ポスターをぜひ送ってほしい、福祉の先進地域とされる北欧からは次にヨーロッパで開催されるときには必ず参加するとした連絡回答が相次ぎました。「私たちの研究が、高齢までの生存を獲得した世界の人々の希望につながる。」との実感を強めています。今大会挨拶では学会副会長・国際部会長として、「リハ医学の革新による障害の克服が、人口ピラミッドが逆転するという人類にとって未曾有の変革期に、超高齢社会に佇む人類の救済に他のどのような手段にもまして意義があり、我々の学会の活動がその実現を可能にする」と述べました。

 我々の学会は、「障害を受容するリハ医学、言い換えれば障害を残して寝たきりになる事を受容するリハ医学から、脳の損傷部位を回復にまではいたらないとしても、改善し、身体機能を取り戻すことの出来るリハ医学・医療の確立」を期して、多面からの研究を行っています。

 脳卒中合同ガイドライン委員会(委員長篠原幸人(東海大学神経内科学・教授)は、我が国においては確立された脳卒中ガイドラインはなく、欧米のものをそのまま利用しようとしても認可されている薬剤も異なり、脳血管障害の発症率・死亡率が高く、病型にも差違があるとして、調査を行ないました。

 班長千野直一教授(当時慶應義塾大学リハビリテーション医学)のリハの部会も、調査結果を発表しています。そこでは、「我が国において、脳卒中患者の多くがリハ医療の対象となり、事実、寝たきりの原因の約30%が脳卒中で、後遺症に悩む患者数は約170万人」とし、上下肢麻痺の機能回復に対する種々のリハ治療法に関して調査結果を述べています。また「リハ医療では治療効果が機能・能力評価で判定されるために、機能・能力評価測定方法そのものの妥当性まで検討されている」としています。そして「脳卒中リハビリ医学・医療での治療法、訓練手技などは臨床経験に基づいて行われてきた領域が多く見られ、全般的にはエビデンスの面からは妥当性が十分とはいえず、今後のさらなる研究が待たれるといえよう」と結んでいます。

 日本では、障害を残して寝たきりになり、施設空間と主にベッドを生活範囲にさせられる高齢障害者は、厚生労働省の予測によれば、2025年には230万人に達します(要介護高齢者予測数520万人)。障害の受容を容認するリハ医学の革新が急がれます。

 リハ医学は、障害の受容を一側面に持っています。医学という名称を冠しながら、広範な医学に望まれる疾病・傷害の診断・治療・予防とは異なっているのです。改革に向け、4件の公的研究費を得て、研究を進めています。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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