抄録
本論文は,情報力学モデル(ξ=ηm,ここで,ξは試合結果の確かさ,ηは無次元試合長さ,そしてmは正の実数)を用いて柔道の試合を解析したものである。ここで,提案された解析方法は柔道の試合を分析するにあたり非常に有用であることが判明したので,柔道指導者のみならず,柔道選手が彼らの技能を高めるために本モデルを活用することができる。情報の分野に力学を導入することの有用性は,第5回,並びに第6回世界柔道選手権における二つの決勝戦を解析することにより証明された。本研究を通して,試合結果の確かさと試合結果の不確かさを表す二本の曲線の交点において,試合結果が決まるという新たな知見が得られたので,この点を特に,“ゲーム・ポイント”と名づけ,これら二つの試合の分析を行った。