武道学研究
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空手道選手の急速減量による右大腿部の筋断面積および膝伸展・屈曲筋力の変化
井下 佳織豊嶋 建広道原 伸司中野 昭一大野 誠
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2004 年 37 巻 2 号 p. 23-34

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抄録

本研究では,空手道選手7名を対象として,急速減量による身体計測値,身体組成,右大腿部の筋断面積および筋力の変化を検討した。
1.BIS法により,急速減量にともなう身体組成の変化を観察した。減量にともない,体重は3.2±1.2kg減少し(体重減少率は平均4.6%),その内訳はFFMが2.1±1.8kg(減少体重の64%),FMが1.1±1.4kg(減少体重の36%)であった。なお,回復期には体重,FFM,FMは,いずれも前値に戻っていた。
2.減量にともない腹囲,大腿囲,下腿囲および皮下脂肪厚は,有意に減少した。
3.MRI法により測定した右大腿部の筋断面積は,大腿中央部において減量前は124.7±10.6cm2 であり,減量後には119.2±11.3cm2 へ有意に減少し,回復期には前値に回復した。この筋断面積の減少率は平均4.7%であった。大腿上部および下部における筋断面積は,減量前後および回復期ともに有意な変化がみられなかった。
以上の結果から,7日間で体重の約5%に相当する急速減量においては,減量にともないFFMが減少し,大腿中央部の筋断面積が減少したが,筋力は維持されていた。また,大腿部筋断面積あたりの大腿部の筋力にも変化はみられなかった。今後さらに大腿部における筋量あたりの筋力の変化について検討する必要があると考えられた。

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