地質調査研究報告
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論文
インドネシア,フローレス島中部パジャワ地域の温泉の地球化学的性質
高橋 正明浦井 稔安川 香澄村岡 洋文松田 鉱ニ赤迫 秀雄小関 武宏久谷 公一Dedi KUSNADIBangbang SULAEMANAsnawir NASUTION
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2002 年 53 巻 2-3 号 p. 183-199

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抄録

インドネシア東部,ヌサ・テンガラ諸鳥東部,フローレス鳥中部のパジャワ地域の地熱性状を評価す るため,温泉,湧水,河川水,降水を採取し,地化学的な分析を行った. マタロコ,ナゲ-ケリ,ティオリブ-ボボ,ソカ,メンゲルーダ及びゴウ-トゥカペラの5有望地熱兆候地帯は,イネリ,イネリカ及びエブロボ火山と30以上の単成火山群の近傍にあり,ンパイ地域は北東部海岸地帯にある. 温泉の温度は,マタロコで90°C以上,ナゲで75°C 以上,ケリ ティオリブで70℃以上,ンパイで60℃以上,その他の地域で40-45°Cである.大部分の温泉は酸性硫酸塩型,ナゲ温泉水のみは酸性硫酸塩-塩化物塩型の性質を示す ナゲ以外の酸性温泉の温泉水中の溶存硫酸塩と塩化物塩の起源は,硫化水素を含む相対的に低温の火山ガスの酸化と,酸性変質帯の間隙水との混合である.ナゲ温泉水のi容存硫酸塩と塩化物塩の起源のみは,塩化水素や二酸化硫黄を含む高温火山ガスと酸性変質帯の間隙水である可能性がある.

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© 2002 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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