地質調査研究報告
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資料・解説
米国ヤッカマウンテン高レベル放射性廃棄物最終処分場における安全規制について
高木 哲一
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2005 年 56 巻 3-4 号 p. 147-157

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抄録

米国では,核廃棄物政策法1982 修正法 (Nuclear waste policy act of 1982, as amended) に基づき,1987 年にネバダ州ヤッカマウンテン (Yucca Mountain) 地域が高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料を含む)最終処分場の唯一の候補地となって以来,DOE(U. S. Department of Energy: 米国エネルギー省)により15 年以上にわたり同サイトが適当か否かを判断するための調査・研究が行われてきた.これらの結果は,ヤッカマウンテン科学・工学報告書 (DOE, 2001) 及び最終環境影響評価書 (DOE. 2002) などに取りまとめられ,2001年にエネルギー省長官から大統領へ提出されたサイト推薦報告書に添付された.2002年にヤッカマウンテンサイトの立地承認決議案が,連邦議会上下両院で承認され大統領が署名したことにより,その立地が正式に承認された.これを受けて,2005年には建設認可のための許可申請書がDOE からNRC (U. S. Nuclear Regulatory Commission: 米国原子力規制委員会) に提出されることになっている.この間の経緯については,原子力環境整備促進・資金管理センター (2003) に詳細に解説されているのでここでは省略する. 日本では2000年の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の制定により,高レベル放射性廃棄物の地層処分の方針が決定され,地層処分事業が正式に開始された.しかし,最終処分候補地の選定作業はこれからであり,米国と比べて事業のプロセスは少なくとも20年以上遅れていることになる.そこで,本解説では,日本でも将来必ず通過するプロセスである最終処分場の安全規制の一例として,ヤッカマウンテン最終処分場の安全規制について,その方針と法律の概要等を紹介する.

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© 2005 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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