地質調査研究報告
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論文
アジア東部における大気中エアロゾル濃度,粒径分布及びつくばにおける 乾質降下物の観測とOPC 観測
金井 豊太田 充恒上岡 晃今井 登清水 洋高橋 嘉夫甲斐 憲次林 政彦張 仁健
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2005 年 56 巻 7-8 号 p. 273-301

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抄録

日中共同研究「風送ダストの大気中への供給量評価と気候への影響に関する研究(ADEC)」のなかで,中国の北京,青島,合肥,及び国内の福岡,名古屋,つくば,那覇で2001年春から風送ダストの観測を開始した.本報告では,ハイボリュームエアサンプラーによる全浮遊粒子(TSP)濃度とアンダーセン型のローボリュームエアサンプラーによって得られる粒径分布を報告する.更に,つくばにおける2004年3月のOPC による観測結果や乾質降下物の変動も報告した. 長期にわたるTSP観測によって季節変動や地域差が明らかになった.ダスト濃度は概して春に高濃度となり,集中観測期間(IOPs)が毎年春季に設定された.IOP-2(2003年3月)やIOP-3(2004年3月)では大きなダストイベントがほとんど観測されなかったが,2002年4月のIOP-1では大きなダストイベントが観測された.ダストの粒径分布は,自然起源と人工物起源とを示す二山形を示した.ダストイベントが起こった時には,粗粒フラクションが増加した.粒径分布と粒子数の短期変動を明らかにするために,OPCによる観測が2004年の3月に行われた.粒子特性は時間ごとに変動しており,OPCは時間分解能がよいのでエアロゾルの短期変動の観測に非常に有用であることが示された.つくばにおける乾質降下物の変動パターンはTSP のパターンとほぼ類似していた.

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© 2005 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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